「スキルアップしたいけど自己啓発はしてません」
先日、正直なキャンディデートAさんが相談にお越しになりました。
新卒で入社した会社で
営業を6年間やって退職しました。
業績は常に上位をキープしていたので立派です。
私:「折角6年間頑張って
業績も良かったのに
どうして辞めたんですか?」
Aさん:「営業マンとしてもっとスキルアップしたかったんです。」
私:「え?
前の会社ではもっとスキルアップできなかったんですか?」
Aさん:「うーん、そうですね・・・・・。」
私:「前の会社では目標となるような先輩や上司はいませんでしたか?」
Aさん:「うーん。」
私:「営業マンも少人数で
Aさんが毎年1位か2位ですからね。
もうやり尽くしたという感じですか?」
Aさん:「うーん。」
私:「じゃあ、Aさんにとってのスキルアップって何ですか?」
Aさん:「もっと大きな会社で大きな金額の営業をやりたいです。
そんな会社でライバルと競い合いたいです。」
私:「なるほど。
高いレベルで切磋琢磨できる環境で働きたいんですね?」
Aさん:「はい、一流企業と言われるような会社で働きたいです。」
私:「Aさんは、これまで何か自己啓発の努力をしましたか?
読書でもいいし
学校に通うでもいいし
交流会に参加して人から刺激を受けるでもいいです。」
Aさん:「いいえ、何もしていません。」
私:「え、何も自己啓発していない?」
Aさん:「はい。」
私:「という事は
転職によって会社の環境を変えて
環境を変える事によってスキルアップしたいという事ですね?」
Aさん:「はい。」
私:「Aさん、正直ですね。
正直なのは結構ですが
Aさんの考え方はあまりに環境依存型ではないでしょうか?」
Aさん:「うーん。」
私:「自己啓発の努力はしないで
転職する事によって環境を変えてスキルアップしたいというのは
あまりに他責ではないでしょうか?」
Aさん:「うーん。」
私:「前の会社での業績が良くても
何も自己啓発していない人が
一流企業に転職できるとは考えにくいです。」
Aさん:「確かにそうなんです。
なかなか内定をもらえなくて苦労しています。
自分が転職で苦労しているので
人材紹介業に関心を持ったんです。
自分のように苦労している人を助けたいと思います。」
私:「Aさん、人材紹介業をバカにしてはいけませんよ。
この業界の採用基準はそんなに甘くありません。
そして成長欲求が強い人が多い業界です。
簡単に内定は取れませんよ。」
Aさん:「はい、これまで何社か応募しましたが駄目でした。」
私:「Aさん、企業はなぜ人を採用するのか?
考えたことはありますか?」
Aさん:「うーん。」
私:「企業経営などに興味はありますか?」
Aさん:「うーん。」
私:「有名なロングセラーでもいいし
新しい本でもいいですが
ビジネス書とか読みますか?」
Aさん:「いいえ。」
私:「Aさん、経営とかビジネスに関心がない人が
人材紹介会社に転職できるわけがないじゃないですか?」
Aさん:「知識不足ですか?」
私:「知識も関心も経験も不足しています。
ある程度勉強もしないと関心も持てないでしょう。
Aさん、この仕事は人だけに関心があっても
ビジネスとか経営に関心がない人ではやっていけませんよ。
経営者や優秀な人事に人に会って
ビジネスや経営の話ができないと駄目なんです。
今のAさんでは人材紹介会社では通用しませんので
これ以上、たくさん応募するのはやめた方がいいですよ。」
Aさん:「そうですか?」
私:「はい、不合格の山になるだけです。
将来本気で応募したい時に受験できる会社が無くなってしまいます。
しばらく自己啓発に努めて充電してから応募した方がいいです。」
Aさん:「なるほど、わかりました。
難しいものですね。
そこまで言っていただける人材紹介会社は他にありませんでした。
大変参考になりました。
ありがとうございます。」
私:「え? これを言わずにAさんに何を言うんですか?」
Aさん:「求人をたくさん送ってくるだけです。
でも、コンサルタントによっても全然違います。」
私:「そうですよね。
良いコンサルタントもたくさんいますからね。」
Aさん:「はい、そうですね。」
私:「当面は前の会社の経験が活かせる法人営業をやりながら
自己啓発に努めてください。
その上でやっぱり人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)に
関心があるという場合はまたお会いしましょう。」
Aさん:「はい、ありがとうございます。
今日はお時間を無駄にさせてしまい
申し訳ございません。」
私:「とんでもありません。
これが人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)の仕事です。
では頑張ってください。」
Aさん、ビジネスに関心がない人は人材紹介会社の内定は取れませんから
成長意欲の高い友達をつくって刺激を受けてください。
しかし、仕事は人材紹介業だけではないので
冷静になってAさんの強みが活かせるものを選んだ方がいいと思います。
「正直、笑顔、フットワーク」 という大きな武器を活かしてください。
「一番わかっているようで
一番わからぬ
この自分」 みつを
合掌。