「もっといいカツラを買いなさい」
懇意にしていただいているクライアントがあります。
さっぱりしたちゃきちゃきの社長さんで
ストレートにものをおっしゃいます。
とても楽しい方です。
全く裏はなく
むしろ社員想いの立派な経営者です。
業績も着実に伸ばして順調に成長されています。
以前、私がAさんという有能なキャンディデートをご紹介した時の話です。
人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)は未経験でしたが、
イケメンでスポーツマンで仕事もできそうでした。
実際、複数の人材紹介会社から内定を獲得されていました。
しかし、Aさんはちゃきちゃき社長の魅力にひかれて
この会社の内定を受諾されました。
Aさん:「年収など条件の良い会社は他にもありますが
社長さんの魅力でこの会社に決めます!!」
私:「Aさん、さすがに見る目がありますね。」
Aさん:「是非、あの社長の下で頑張りたいと思います。
あんなに率直に話をしていただける社長さんは他にいません。」
相思相愛で内定となったわけです。
Aさんは現職の引き止めや引き継ぎがあり
入社までに2か月ぐらい要する状況でした。
その間、入社前にAさんが社内見学に行かれた際の話です。
Aさん:「社長、実はわたしカツラなんです。」
社長:「え、あーそう?
そんなの全然気にすることないよ。
うちの会社では誰もそんな事を気にしたり
嫌がったりするような社員はいないから。」
Aさん:「そうですか?」
社長:「何を気にしてるの?
大丈夫だって。
ほら、スキンヘッドの社員もいるでしょう?」
Aさん:「あ、はい。」
社長:「そんな事を気にするより
仕事を頑張って業績を上げて給料も稼ごうよ。
稼いだお金でもっといいカツラだって買えるじゃない?
大変だったら貴方もスキンヘッドにしてもいいよ。」
Aさん:「・・・・・・。」
この会話が原因だったのかどうかわかりませんが、
この後、Aさんとは全く連絡が取れなくなりました。
社長はAさんを励ますつもりで言ったのですが、
Aさんは色々考えてしまったのかもしれません。
結局、何十回電話してもメールしても
未だにAさんとは連絡が取れていません。
好意で言った事も
相手によっては傷つくこともあります。
頭髪の問題はなかなかデリケートです。
ただ、結果としては内定辞退となって良かったと思っています。
このクライアントではオープンなコミュニケーションをベースに
強固なチームワークを第一にしています。
従って、Aさんが入社されたとしても
この会社のコミュニケーション特性に合わずに
早期退職という最悪の結果になったかもしれません。
結局、ご縁がなかったと言うしかありません。
Aさん、気が向いたら連絡してください。
「ほんとうのことが
いちばんいい」 みつを
合掌。