「成熟市場でどう生き残るか?」
日本国内の人材紹介業界は早くも成熟産業になりつつあります。
下記は、厚生労働省集計の全職業の紹介手数料合計の年度別推移です。
2007年度がピークだったという事です。
・2007年度 約2770億円
・2008年度 約2610億円
・2009年度 約1860億円
・2010年度 約2163億円
・2011年度 約2196億円
*2012年度以降の集計は未発表
我々の主戦場のホワイトカラーと呼ばれる、
下記の四つの職業でも市場の停滞が顕著です。
・専門的・技術的職業
・管理的職業
・事務的職業
・販売の職業
上記四つの職業の手数料合計は、下記の通りです。
・2010年度 約1700億円
・2011年度 約1800億円(前年比6%増)
この後2年連続5%増していると仮定しまして
今年2013年の市場規模は約2000億円と推測します。
市場が伸びない最大の要因は、「深刻な人材(登録者)不足」 です。
求人数と求職者数の伸び方の違いを見てください。
(求人数)
・2010年度 約206万件(前年比26.4%増)
・2011年度 約244万件(前年比18.3%増)
(求職者数)
・2010年度 約423万人(前年比6.2%増)
・2011年度 約423万人(前年比0%増)
求人数は増加していますが、求職者数は全く増えていません。
2000年代になって人材紹介会社を利用する求職者は着実に増えましたが
早くも頭打ちになったという事でしょう。
また、求人企業から年収の25~35%もの高額な紹介手数料をいただける
ハイスキル・ハイポテンシャルの求職者数に限界があることも容易に想像できます。
・2011年度の人材紹介会社経由の就職件数 397202件 に対して、
前述の通り求職者数は423万人ですので、就職率はわずか9.3%です。
*ただし、求職者数は複数の紹介会社に重複登録している方が多いので、
実数は二分の一か三分の一以下だと考えた方が妥当ですね。
それにしても、
「人材紹介会社に登録はしたけれども難しい求人が多くて転職先が見つからない」
このような人材があふれかえっているという状況に変わりありません。
要するに、高額な手数料が取れる高付加価値市場は早くも成熟してきたという事です。
人材紹介会社の事業所数も、2010年度の18017箇所 から、
2011年度は17556箇所 と、初めて2.6%の減少に転じました。
じゃあ、これからどうするのか?
大きく二つの選択肢があります。
1 低年収(低手数料)市場へシフトする。
例えば、若年層(ノンキャリア)、派遣勤務の方、シニア世代などです。
世界中の大手人材派遣会社が取り組んでいるような市場です。
*既に米国では2007年に、TTP(紹介予定派遣)が登録型人材紹介の売上を
抜いているんです。
2 高付加価値市場で勝負を続ける場合は、
従来の待ちの登録型ではなく、狩猟(ハンティング)型にスタイルを変える必要があります。
*米国ではハンティング型人材紹介会社の売上が、登録型人材紹介会社の売上の
2倍ぐらいあるんです。
戦国時代ですから、狩猟型になって競合他社の領地を奪うしかないのです。
いかにもアグレッシブな外国人向きのビジネスですね。
いよいよ厳しく楽しくなってきましたね。
これからが本当の勝負です。
「考えてばかりいると日がくれちゃうよ」 みつを
合掌。