「優秀な人材より有用な人材を採用せよ」
「優秀」とは? ⇒ 非常にすぐれていること。また、そのさま。
「有用」とは? ⇒ 役に立つこと。また、そのさま。
優秀だから有用とは限りません。
優秀な人材は、学歴と職歴を見ればわかります。
有用な人材は、直接会って余程話し込まないとわかりません。
先日相談に来られた人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)Aさんは、
下記のような貴重な経験をしました。
Aさん:「昔、クライアントに言われたことあります。
有能な人と有用な人は違う。
うちは有用な人が欲しいんです。
どこでもほとんどそうじゃないですかねと。」
私:「考えさせられる言葉ですね。」
Aさん:「優秀だから必ず活躍できるとは限りません。
それはそうだとつくづく思います。
クライアントの社長が、
私が会った人なら必ず面接すると約束してくれたのはそういうことです。
1500万円のポジションで決まった人の前に別の人を紹介しまして
面接に行ってもらいました。
旧帝大出身で初めての転職、経験もタイトルもそれなりで申し分ない人でした。
大企業で年収も高かったです。
でも、クライアントのNG理由は、何となく違う、うちには合わない、
それだけだったんです。」
私:「なるほど。
その 『なんとなく違う』 って言うのが一番大切ですよね?」
Aさん:「ところがキャンディデイトが納得しませんで、
面接は和やかな雰囲気だったし、
自分の経験・能力と先方が求めているスキルはマッチする。
なぜ、だめなんだと。
本人がクライアントに直接電話して理由をとことん聞くと言い出しまして
クライアントはそんなことしてもらったら困る、
そんなことさせたらもう二度と紹介は受けませんと言われまして、
そのキャンディデートを納得させるのに苦労しました。
苦い思い出です。」
私:「へー、すごい自信家と言うか、なんか勘違いしてますね。」
Aさん:「はい。
転職初めて、学歴も職歴もよく、ずっとエリート路線だったからだと思います。
でも、私との面談では紳士でしたし、そこまで見抜けなくて反省しました。」
私:「そうですね。
でもだまされて採用する企業が多いけど、
採用しなかった企業を褒めるべきでしょうね。」
Aさん:「でも、その後、別の人を年収1500万円で採用してくれました。
しかも当初は年収1200万円までの求人だったんですが、
ご本人が1500万円現職でもらってるからと
1500万円提示してくれたんです。」
私:「なるほど。有用な人材だと思ったんですね?」
Aさん:「そうだと思います。重要ですね。そういうのは。」
私:「はい、そう思います。」
Aさん:「他にも年収が下がるキャンディデートが迷っていた時に
社長自らラブコールのメールしてくれたり。
私の未熟さはいつもクライアントに助けてもらっていました。」
私:「その社長さん、偉いですね。」
Aさん:「うちは小さな会社だけれど、気持ちはどんな大企業にも負けません。
小さな大企業を作るのに貴方の力を貸して欲しい。
キャンディデイトが、僕はあのメールを読んで武者震いが止まりませんでしたと。」
私:「すごい、感動的な話ですね。」
Aさん:「本当に。
自分にできることなんて小さなことだなと勉強させられました。」
私:「でも、Aさんは素晴らしいストーリーを語れる会社にめぐり会えて良かったし、
その会社もホンモノのエージェントを求めていたんです。
それがAさんだと思ってくれた事が、今後もこの仕事を続ける糧になるでしょう?」
Aさん:「はい、その通りです。」
この仕事の醍醐味が詰まった良い話だと思いました。
「そのときの出逢いが人生を根底から変えることがある よき出逢いを」 みつを
合掌。