「鶏口となるも牛後となるなかれ」
という諺(ことわざ)がある。
大きな集団の最後尾にいるよりも、小さな集団のトップとなった方がいいという意味である。
就職先や転職先を考える上で、そんなことを思い出してみてはどうだろう。
これってこのようにも言い換えられないか?
優秀な社員ばかりの大企業でビリになるより、そこそこのレベルの中小企業で
トップになった方がいい。
これは私がリクルートに採用されながら、配属先を当時のリクルート人材センター
(前:リクルートエージェント)に決めた理由の一つである。
リクルート本体では優秀な社員が多すぎて、私など埋もれてしまっただろう。
そこであえて当時はほとんど認知されていなかった人材紹介業を営む
リクルート人材センター(前:リクルートエージェント)を選んだ。
社員数も数十名しかおらず、リクルートグループ内でもあまり認知されていなかった。
ここなら鶏口にはなれなくても、牛後に甘んじることはないだろうと思った。
当然こんな理由よりも 「他人様のキャリア相談に乗る仕事ができるかもしれない」
という高校時代からの動機の方が強かったが、前述の理由があったのも事実である。
内々定者拘束合宿&旅行、正式内定者研修、入社前導入研修など、
同期の連中と何度も顔を合せディスカッションなどしてみれば、
だいたいこの集団の中で自分が何番目ぐらいなのかはわかる。
四大卒同期300人の中で自分は250番ぐらいかな? とかね。
いやいや、290番ぐらいかもしれない。
とにかく上位50%に入っていないのは明らかだ。
頭の良さはもちろん、メンタル面の強さも含めて、普通に観察すればわかる。
それなのに、保守本流の事業部門に配属されても、
どこか地方都市の支社に配属され、なかなかマネージャーにも昇進できない日々を
過ごしただろう。
実際、そのような配属の可能性が濃厚だったと思う。
同期の中には、そのような配属をされ、立派に責任を果たした偉い奴も少なくない。
中には地方都市から東京に異動し、それなりに活躍した野武士もいる。
心から尊敬する。
しかし、このような下剋上は例外的な事例である。
やはり、東京配属で保守本流の部隊や本社スタッフに配属された人たちが、
持ち株会社や各事業会社の役員に名を連ねている。
高い次元での競争に勝ち残った人たちが名を連ねている。
「そりゃそうだ」 と納得できる結果である。
それなりの能力・気力を持った人間が本気で戦って得たポジションだ。
ただ、今の私は、それをうらやましいとは思わない。
むしろ、 「大変だろうから体に気をつけてね」 と思う。
独立開業してから、やっと他人と自分を比べない人間になった。
私は私でしかない。
自分の判断や結果が、そのまま自分に返ってくるだけだ。
それが心地よく納得できる。
良い事も悪い事も、それは全て自分が招いた結果だ。
でも、良い事が起きたら、できるだけ他人様に感謝するように意識している。
「いいことはおかげさま わるいことは身から出たさび」 みつを
合掌。