「何を捨てるか? 何をやらないか? それが重要です」
ある経営者から依頼された幹部求人の話です。
「何をやらないか? それを決められる管理職が欲しいんです。」
「何をやるか?」 が重要だと思っている人が多いと思いますが、
実は 「何をやらないか?」 を決める方が重要です。
こんな事は色々な本にも書いてある常識です。
それなのに、今でもこの常識を逸脱して失敗する経営者が無数にいます。
だから、ほとんどの会社が設立後3年とか5年ももたないのです。
得意な事に集中すればいいのに、不得意な事にも手を出します。
自分の能力以上に会社を大きくしようとします。
不得意な事をやるわけですから、会社の利益率(生産性)は大幅に悪化します。
その結果、社員の給料も下げないといけなくなります。
そうすると、社員は思います。
「私たちは以前と変わらず頑張っているのに、どうして給料が下がるんだろう?
経営者の思いつきでやったことの責任をどうして私たちが取らないといけないんだろう?」
このような状態になると、かつての信頼関係は失われます。
かつては強い信頼関係で結ばれていた経営者と社員との間に溝ができます。
そして、人材が流出します。
一旦この状態になると、なかなか修復できません。
そして企業はその生命を終えます。
世の中の企業の歴史を見渡してください。
多くの企業が、このパターンで倒産したり衰弱しています。
目的が無いから、このようになるのです。
「御社は、だれを顧客として、その顧客のどのようなニーズに、
どのような製品(サービス)を提供して、満足していただくのですか?」
という問いかけに明確に答えられないと駄目です。
いたずらに顧客を増やすと、顧客のニーズも多様化して、それに応えられなくなるのです。
そして、元々の本業が何だったのかもわからなくなります。
カンパニー・アイデンティティーの喪失です。
だから経営者は日夜経営しながら勉強しなければならないのです。
自分のためでもあり、顧客や社員をはじめとするステークホルダーのためでもあります。
【最も難しい決定】 一倉 定 (いちくら さだむ)
社長の決定で最も難しいのは、「捨て去る」 という決定である。
私のコンサルティングのうちで、最も難しく、最も急ぐ事こそ「捨て去る」ことを
納得させることなのである。
私は、社長の決定のうちで、何が最も大切で、何が最も難しいか、という問いに対して、
躊躇することなく「捨て去る」ことであると答えるのである。
論より証拠、優秀会社は例外なく「捨てる名人」であり、破綻した会社は例外なく
「切捨音痴」である。
「ひとつの事でもなかなか思うようにはならぬものです
だからわたしはひとつの事を一生けんめいやっているのです」 みつを
合掌。