「自分の案を三つ持って来い」
数年前、ある人材紹介会社の事業部長Aさんと飲んだ時の話です。
人生の大先輩です。
私:「マネジメントって難しいですよね?」
Aさん:「そうだなー、難しいと思えばそうかもしれないけど、
あまり深刻に考えない方がいいよ。」
私:「そうですね。
楽しく仕事したいですね。」
Aさん:「そうそう、明るく楽しくやるのが一番だよ。」
私:「上司が暗い深刻な顔してちゃ駄目ですね。」
Aさん:「それが一番よくない。
上司が職場を明るくしないと。」
私:「どうやって明るくするんですか?」
Aさん:「自分をさらけ出すんだよ。
俺なんか若い時はクライアントの接待で丸裸で走り回ってたよ。」
私:「そういうさらけ出し方ですか?」
Aさん:「もちろん、身も心もだよ。」
私:「心はどうやって?」
Aさん:「メンバーにこちらから、たくさん話しかけるんだよ。」
真面目な話でも、くだらない話でもいいんだ。
そしたら、だんだん馴染んできて、メンバーから話しかけてくれるようになる。」
私:「なるほど。」
Aさん:「そうすると、仕事の相談もどんどんしてくるようになる。」
私:「なるほど。」
Aさん:「大事なのはその時だよ。」
私:「ほー、どうするんですか?」
Aさん:「簡単に答を教えないことだよ。」
私:「どうするんですか?」
Aさん:「『自分の案を三つ持って来い』 と言ってメンバーに考えさせるんだよ。」
私:「なるほど。」
Aさん:「待つのは我慢が必要だよ。
時間が無い時はついつい答を教えたくなるよ。」
私:「そうでしょうね?」
Aさん:「でもな、自分で考える癖をつけないと仕事が楽しくならないんだよ。」
私:「それはそうですね。」
Aさん:「自分で考えてこそ仕事は楽しいだろう?」
私:「はい。自分で考えたいですね。
それで最終的にはどうするんですか?」
Aさん:「三つの案の中から一番いいと思う案はどれかを聞く。
その理由も聞く。」
私:「なるほど。」
Aさん:「理由を聞いて俺も納得したら、その案でやってもらう。
足りない点があればアドバイスしてやる。」
私:「なるほど。」
Aさん:「根気よくこれを繰り返していると、メンバーに考える力がつく。
そうするとビジネススキルも上がるし仕事も楽しくなる。」
私:「なるほど。
根気よく考えさせるマネジメントですか?
すごく参考になります。」
Aさん:「簡単そうだけど根気が必要だし難しいよ。」
私:「そうでしょうね。
なかなかできることじゃないと思います。」
Aさん:「最近は根気の無い上司が多すぎる。
人は簡単には育たない。
上司はなぜメンバーより給料が高いか考えないといけないよ。」
私:「耳が痛い話ですが参考になりました。
ありがとうございます。」
「毎日少しずつ それがなかなかできねんだなあ」 みつを
合掌。