「負けっぷりの良さが人間の値打ちを決める」
平泳ぎ200メートル決勝の北島の負け方は見事だった。
過去二大会連続、100と200両方で金メダルを獲ったヒーローが
最後に見事な負けっぷりを見せてくれた。
過去の二大会で勝った時の、 「チョーキモチイイ」、「ナニモイエネー」 より感動した。
過去の勝ちっぷりも見事であったが、人間は最後の負けっぷりで値打ちが決まる。
今回の見事な負けっぷりで、北島という男の人間的成長を感じ
心から拍手を送りたいと思った。
「晩節を汚す」 恥知らずの日本人が増える中、見事な幕引きだった。
200メートルにもかかわらず、最初の50メートルから世界記録を上回る渾身の泳ぎで
150メートル近くまでレースを引っ張った。
まさに死力を尽くした魂の泳ぎだった。
最後の最後まで全力で泳いだ。
パフォーマンスではない。
29歳になった今の北島の全てを出し尽くした爽やかな泳ぎだった。
自分のレースを自分でしっかり締めくくる渾身の泳ぎ。
これこそチャンピオンにふさわしい。
ホンモノのプライドを感じた。
最後は、同じ日本人の立石諒に100分の6秒差で逆転され4位に終わった。
レース終了後のインタビューでも、
「諒(立石)がメダルを獲ってくれたし悔いはない」 と言い放った。
やるだけの事はやった男の顔だった。
少なくとも、100メートル決勝のレースとは比較できないほどアグレッシブな泳ぎだった。
残るはリレーだが、水泳人生最後のレースでも200メートル同様に魂の泳ぎを期待する。
誰もが死ぬのと同じように、誰にでも「負ける時」が訪れる。
その時の負けっぷりで人格が決まる。
まだ若くて元気な人にはわからないだろうが、いつかわかる時が来る。
それまでは大いにやんちゃでいいよ。
「なみだで洗われたまなこは きよらかでふかい」 みつを
合掌。