「パワハラ上司の何が悪い?」
未だにメンバーを怒鳴りちらす上司がいる。
「バカヤロー!! お前なんか辞めちまえ!!」
というように、みんなの前で叱る。
蹴飛ばしたりする私よりはましだ。
昔はこんな上司はたくさんいた。
問題は、この上司とメンバーとの間に信頼関係があるか、ないか? である。
信頼関係があればパワハラにはならないし、なければパワハラと言われても仕方ない。
我々の時代は、もっともっと深く人格を傷つけられた。
(ほぼ全員の前で)
取締役営業部長:「お前は本当に人間か?
友達はいるのか?
一体どんな育ち方をしたんだ?
お前は必ず誰にも看取られず、たった一人で死ぬだろう。
必ず寂しい人生を送るだろう。」
「こいつは辞めさせよう。マイナス効果が大きすぎる。」 と本気で思っていただろう。
まさか、この取締役が後の仲人となり、人生の中でも稀有な恩人になるとは思わなかった。
私は新卒時代、全く売れない、それなのに地下鉄やコンニビで殴り合いの喧嘩、
クライアントからのクレームは絶えない、上司とはいつも喧嘩、先輩にも暴言連発、
更には一人前に社内恋愛だけはしていたので、これは辞めさせられて当然だ。
そんな辞めてほしい社員を何時間も叱って、自腹で飲みに連れて行って、
最後は多少のフォローもして深夜まで面倒を見る。
昔の上司はそこまでやっていた。
私は叱られて当然だが、優秀な先輩や鬼マネージャー、天才営業マネージャーまでも
全員がこの恐ろしい人格否定、強烈なフィードバックの洗礼を浴びた。
取締役なりの評価も含めて、ターゲット社員の周囲のすべての人から、
その人の良い点、悪い点を事前にヒアリングしているので全く逃げ場がない。
私は逃げ場がなくなると、素直に認めず必ず喧嘩になる。
私:「そう言うあんたはそんなに立派な人ですか!!
昼間は週刊誌を読んだり、寝たりしているだけじゃないですか!!
何が偉そうに取締役だ!!」
取締役:「そうだよ。俺もろくな人間じゃないよ。
ただ、俺の良い所も悪い所も、みんなが知っている。
その上で俺を受け入れてくれている。
その点、お前は素直じゃないし、今は悪い所しか出していない。
そんな状況のまま辞めていいのか?
今、お前が辞めても誰も惜しまない。
むしろ大歓迎だ。
ただ、お前自身は誰にも惜しまれずに辞めていいのか?
辞める時ぐらいは、人に惜しまれて辞めたくないのか?
お前は俺なんかより、よっぽど優秀な人間だ。
一度は本気で仕事してみろ!!」
「お前自身は誰にも惜しまれずに辞めていいのか?
辞める時ぐらいは、人に惜しまれて辞めたくないのか?」
この言葉は心にしみた。
こんなダメ社員にそこまで言ってくれるのか。
最近は親でもここまで厳しい事は言わないが、それを越えて本当に思っている事を
ストレートに言う。
そこまで言って言われて喧嘩しないと、本当に濃いカルチャーはできないし
一体感もできない。
みんなの気持ちが一つにならないと、会社も伸びない。
「マネジメント」というものが、何やら論理やスキルの塊のように取り上げられがちだが
それ以前に大切なものがある。
「人への興味・関心」、「人間愛」 だ。
「自己愛」 でもあると思う。
おかげさまで、怠惰な高校・大学生活で腐った精神をたたきのめしてもらった。
たたきのめされたかったから、あえてリクルートを選んだとも言える。
あそこでたたかれてなかったら、今でも硬い殻をかぶったままだったかもしれない。
人間は一度丸裸にされると怖いものがなくなる。
自分の小さなプライドなんて屁のツッパリにもならない。
メンバーを怒鳴る上司は、なぜ怒鳴るのか?
そこに上司のルーツがあるからだ。
自分自身が怒鳴られて良いことがあったのかもしれない。
メンバーは聞けばいい。
「貴方はなぜ怒鳴るんですか?」 と。
全く関わらない上司より怒鳴るだけましだ。
「つまづいたっていいじゃないか 人間だもの」 みつを
合掌。