「上司列伝」
先週の金曜日は懐かしい人たちに会った。
お互いに 「全然変わってないね」 などと言うのだが、客観的に見たらそれなりに
じじー、ばばー になっているに違いない。
数時間の間、時間を20~30年巻き戻したような感覚だった。
しかし、昔の上司というのは、全てを知られているだけに今更取り繕っても仕方ない。
16回もの人事異動で、いろいろな上司の下で仕事ができた自分は幸せだったと思う。
・一人目の上司⇒基本的に部下に任せる。細かい事は何も言わない。
責任は取ってくれる。面倒見が良い。見放さない。
ご自宅にも頻繁に泊めていただき、奥様にも大変お世話になった。
私のような不良新人のせいで相当評価を下げたはずだ。
私はこの人の下でなかったら、確実にクビになっていた。
・二人目の上司⇒最初の半年は毎日喧嘩した。
この人は親父ぐらいの年齢なのだが、「お前」 と言ってしまった。
半年も喧嘩すると、喧嘩のネタも無くなってきた。
いつの間にか何でも言える関係になっていた。
ご自宅にお邪魔するようになり、奥様にもかわいがっていただいた。
「俺は営業は苦手だから、クレームだけは何とかする」という方針で
若いメンバーにも支持された。
・三人目の上司⇒「鬼マネージャー」と呼ぶにふさわしい。
月曜日の朝から金曜日の夜まで詰めまくられて緊張の連続。
しかし、この人の言う通りにすると、本当に業績が上がる。
どのようなすれば業績が上がるのか?誰にもわかりやすく分解して
教えてくれた。マメジメントのバイブル的存在。
実際、この時に初めて売れる自信がついた。
・四人目の上司⇒「天才営業マネージャー」と呼ぶにふさわしい。
とにかく、この人を営業に連れて行くとバンバン売れてしまう。
私たちは、受注後のフォローさえちゃんとやればいい。
天才的センスで売っているので、私たちには真似できない。
「なぜ、初対面のお客さんと、こんな短時間で仲良くなれるのか?」
複製不能な天才営業マネージャーだ。
・五人目の上司⇒「タコニュウドウ」と呼ぶにふさわしい。
年齢は相当上だったが、頭はさえていてセンスがある。
世界中で働いた経験があり、国際感覚も豊かだった。
「だいたい僕なんかねー、・・・・・。」という自慢話が多い。
ものすごいイビキの大きさで、一緒の部屋では眠れない。
だけど、どこか可愛げのある秀才だった。
・六人目の上司⇒「ブルドーザー」と言うにふさわしい。
大銀行から引き抜かれて転職してきた人だった。
凄いハードワーカーで情報感度が高かった。
25年前からパソコンをビシビシ使いこなしていた。
ベンチャー企業が中堅企業に脱皮する時には不可欠な人材だった。
普通のリクルートマンが持っていない知見を持っていた。
・七人目の上司⇒「楽しいホラ吹き」と言うにふさわしい。
とても愉快で楽しい人で、上司と言うより兄貴という感覚だった。
心身ともに若く共感性が高い。
一緒に仕事をしても遊んでも楽しい。
サラリーマンよりもエンターティナーに向いている。
「ホラ吹き」の癖さえなければ。惜しい。
・取締役営業部長⇒「ヤクザの親分」と言うにふさわしい。
秘密警察のように身辺調査をされ、衆目の前で激詰めされる。
営業部隊の天皇のような存在だった。
一方で一度仲良くなると、人情家でとても面倒見が良い。
普段はただのスケベジジーとも言える。
・社長⇒「北島三郎のそっくりさん」と言うにふさわしい。
得体のしれないパワーと強運の持ち主だ。
何歳になっても明るく若々しい。
土佐出身らしく常に理想と夢を追いかける青年のような人だ。
他にもたくさんいるのだが、きりがないのでこの辺で。
随分個性的な上司がいたものだ。
そう言う私も、代表格だと思われているに違いない。
ただ一つ言えるのは、どんな上司でも短所だけを見たら自分のためにならないという事だ。
なぜ、その上司がそんな特徴を持っているのか?
そのルーツがある。
同じ人間として、そこに果敢にアプローチしないと得るものはない。
単にエリートだから良い上司、そうではないから良くない上司、
そんな単純な考え方では人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)としても
大成しないだろう。
企業にも人にも必ず歴史・バックグラウンドがある。
それがあって今がある。
そこに関心を持ちアプローチする習慣が人生をおもしろくする。
「ひとの世の幸不幸は人と人とが逢うことからはじまる よき出逢いを」 みつを
合掌。