「小樽商科大学アメフト部:急性アル中で9人搬送」
小樽商大出身の友人・知人はたくさんいるし、一人が重体と聞いたので何とか助かってほしい。
しかし、飲ませる先輩が未熟なのだ。
誰にどこまで飲ませるかの見極めが大切だ。
私が大学在学中の新歓コンパでは、ビールなど半端な飲み物は出なかった。
いきなり焼酎(さつま白波)を生(き)で飲まされる。
一番激しいことで有名だった土木工学科の新歓コンパでは、20名以上を病院に学生自ら
リアカーで搬送し、同期のH君は手術台の上でおもらしした。
「藤崎ホテル」 と言う新歓コンパ専用のホテルがあり、ゲロしてもいいように
事前に畳も張り替えてあったらしい。
リアカーは、先輩の指示で我々学生自ら数十台を手配しホテル前に並べておいた。
もちろん、つぶれた学生を自ら搬送するためだ。
全員一斉に飲まされる。
食べる時間など全くない。
すぐに焼酎一気飲みで、飲んだらすぐにおかわりしないと殴られる。
私も5杯飲んだら、急に気持ちが悪くなってトイレに駆け込んだ。
一度トイレに行くとスッキリする。
宴会場に戻ったら、同期のN君が完全にグロッキー。
先輩:「もうこいつは駄目だ。
しかし、お前は妙に元気だな?
さっきのは、つぶれた演技か?
コノヤローもっと飲め!!」
私:「先輩、飲みます。
飲みますけど、N君はこのままですか?」
先輩:「すぐにリアカーで運ぶ。
お前も手伝え!!
意識はあるから下宿までリアカーで運ぶぞ!!」
それから、N君の下宿まで先輩と二人でリアカーに乗せて運んだ。
その間、N君は口から何度も噴火した。
自分の顔の上に自分で何度も何度も噴火した。
私も何度も噴火を浴びた。
そして何とかN君の下宿にたどりつき、先輩がN君に声をかけた。
先輩:「こいつは大丈夫だ。
寝たら元気になる。」
N君の下宿のおばさんにもお詫びとお願いをして搬送完了。
先輩:「武谷(たけや)、宴会場に戻って飲むぞ!!」
私:「うそでしょう!!」
先輩:「このバカタレ!!」
先輩の鉄拳が飛んできた。
仕方ない。行くしかない。
宴会場に戻ると、ほとんどの新入生は搬送されたか、その辺でつぶれていた。
唯一頑張っていたのは、さすが土木工学科のH君だった。
小柄だが酒豪で気持ちの良い奴だ。
酒豪なのでトイレに何度行っても戻ってきて飲み続ける。
こんな男気のあるヤツが先輩には一番かわいい。
H君は胃液はもちろん、いつも血を吐くまで飲んでいた。
焼酎2升ぐらいは普通に飲む。
結局最後は、先輩がタクシーで自分の下宿にH君を連れ帰り、
「こいつは俺が面倒を見るから、お前は自分で帰れ。」
と言って別れた。
H君のような強くて言われた通り飲むヤツも危ないことを先輩は知っている。
だから、自ら責任を持って介抱したのだ。
H君もさすがで、タクシーの中では根性で噴火しなかった。
話は変わるが、私が下宿の新歓コンパでストレートウィスキーのどんぶり一気で
つぶされた上に空手部の先輩に殴られたことは以前のブログに書いた。
その下宿で私も2年、3年、4年と益々偉そうになり、アレクサンダー大王のようになっていた。
そこにA君と言う同じ高校出身のイケメンスポーツマン後輩が入ってきた。
入学前から、あいつはいじめてやろうと決めていた。
そして、下宿の新歓コンパの日がやってきた。
毎年1Fに住む寛大で親切な大家さんが一升瓶の差し入れをしてくれる。
「なんと素晴らしい大家さん!!」
今思い出しても涙が出る。
大家さんご家族と兼用のトイレもゲロだらけになるのに。
「さーて、狙っていたA君を徹底的につぶしてやろう!!」
A君は一生懸命飲もうとするが、あっという間に赤くなり心臓の鼓動が激しくなり、
はじめは疑ったが、
「これは変だ。演技じゃないぞ。」
と思い始めた。
A君は本当のアルコール・アレルギーだった。
それ以降は、A君に無理やりビール1杯ぐらいしか飲ませたことはない。
要するに、アメフト部でいくら頑強なヤツでも飲めないヤツには飲ませてはいけない。
勝手に飲むヤツもいるが、そこは先輩が後輩を殴りながらも半分冷静に見極めて
止めるものは止めないといけないのだ。
前途有望な19歳の若者を、急性アル中などで死なせてはいけない。
「張りすぎてもだめ たるんでもだめ ちょうどいいあんばいが一番いい」 みつを
合掌。