「アジア進出企業向け活況」
日経新聞:4月21日(土)の記事からの抜粋です。
人材紹介ビジネス
アジア進出企業向け活況
賃上げで手数料も上昇
「アジアに進出した日系企業を対象とした人材紹介ビジネスが活況だ。中国での紹介件数は
前年比3割増のペースで伸びる。現地経済の拡大に加え日本国内では人材の確保が
難しくなった各社がアジア事業に力を入れているのも背景にある。アジアの紹介手数料は
現地の賃金上昇に合わせて上昇基調だ。
人材紹介大手のインテリジェンスが2011年度に中国で現地の日系企業に紹介した人材は
7326人。前年度に比べ33%増えた。リクルートも1~2月は564人と前年同期比35%増えた。
中国では日本に比べ日本人も含めた人材を確保しやすく、紹介件数の増加につながっている。
中国最大の経済都市、上海。小売り、サービス、コンサルティングなど幅広い業種で求人増が
目立つが、最近は財務経理経験者など専門職を求める動きも増えている。中国では元々、
人材紹介会社を経由しない転職が多い。競争上、人材紹介会社が紹介先企業から受け取る
手数料率の伸びが抑えられている。
手数料率は25%前後と日本より低いが、手数料額は賃金が上昇すれば連動して上がる。
中国では工場労働者の最低賃金が年率10%程度上昇しており「手数料収入を押し上げている」
(最大手のリクルートエージェント)。各社は一段の収入増加につなげようと、高年収の人材の
確保に力を入れる。
「アジアでの人材紹介市場では、年内は3割増のペースで需要が拡大しそうだ」(インテリジェンス)。
リクルートは日系企業向け人材紹介の対象地域をインド、シンガポール、ベトナムまで拡大。
インテリジェンスは昨年末、東南アジア諸国連合(ASEAN)最大の求人サイト運営会社と提携した。
各社がアジアに力を入れる背景には国内で企業の要求に合う人材を確保するのが難しくなって
いる事情もある。
リクルートエージェントの3月末の求人数は、6万310人と前年同月比40%増加した。
けん引役はIT(情報技術)や通信、小売りなどの業種。企業は新卒採用を抑制するが、
即戦力となる中途採用者の活用には意欲的だ。
手数料率も上昇している。「現在は紹介者の予定年収の30%前後」(インテリジェンス)。
求人が激減した2009年に25%前後に下がったが足元はほぼ以前の水準に戻った。
手数料率の上昇は、国内の紹介市場では旺盛な需要に見合った人材が十分に確保できない、
ミスマッチの表れでもある。企業は少々高めの手数料を払っても人材を確保しようとする。
特に、スマートフォンのアプリ開発などに携わるIT技術者は登録が少ないという。」
以上。
というわけで、日本国内では求人需要に人材確保が追いつかないという、
好景気時特有の人材紹介業のジレンマに直面しています。
それに対して、中国では求人需要も旺盛ですが、人材確保もしやすいということで
まだまだ市場の伸びが期待できるというところでしょう。
もちろん、底流には経済(企業活動)のボーダレス化というものがあります。
勢いの良いアジアでの人材紹介ですが、気になるのは現地で働く人材の年収です。
どんどん上がっているとは言っても日本円換算でどれぐらいなのでしょうか?
実際こんな仕事をやっている人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)の方に
伺ったら、 「現地の日系企業の平均年収は200万円程度でしょう」 との事でした。
当然ながら年収は職種や役職によって相当幅があるようです。
例えば、IT技術者の年収はどんどん日本に近づいており、5年後には並び、
10年後には日本の年収を追い越すだろうと書かれている記事もあります。
どうでしょうか?
現地(上海)で紹介している人材の平均年収が200万円だと仮定して
紹介手数料率が25%だとすれば成功報酬は50万円です。
日本国内のFEEの三分の一ぐらいですね。
そうすると現地の人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)は、
日本のコンサルタントの3倍成約しないと、同じ粗利益は確保できないわけです。
しかし、現地の人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)の年収も200~300万円
にして現地化経営すれば採算が取れるという構造です。
更に、登録者募集費用も日本より低く抑制できれば、黒字経営は十分可能です。
このように現地化経営を行い世界中で黒字経営している会社もあります。
年収200万円のコンサルタントが派遣コーディネーターのような猛スピードで働いて、
面談時間も短く切り上げて、あとは電話でやり取りして大量にバンバン成約を上げる
というイメージです。
日本国内の人材紹介業とはイメージが違いますね。
人材派遣や看護師・薬剤師の紹介に似てますね。
年収、勤務地、労働時間などのわかりやすい条件で、どんどん人材が流動化している
世界を想像します。
そうでなければ常識的に考えて、年間7326人とか1~2月に564人とか成約できません。
採用に対する企業の姿勢(面接1回)や、働く人材が求めるものが違うのでしょうが、
日本国内のホワイトカラーの人材紹介とはかなり様子が違います。
従って、今後各社は、より高付加価値な人材紹介に注力していきたいでしょう。
そんな高付加価値領域に特化した国際的なエージェントもあります。
(日本円で1000万円以上の求人しかやらないとか、ミニマムチャージ700万円とか)
時代はすごいスピードで変化しているので、試行錯誤は大いに結構だと思います。
今の試行錯誤や経験が将来大きな果実をもたらすでしょう。
「ともかく具体的に動いてみるんだね 具体的に動けば具体的な答が出るから」 みつを
合掌。