「独立した後輩の悩み」
優秀な後輩が独立して人材紹介会社を始めた。
時々暇つぶしに昼飯を食べに来る。
私は、なかなか順調なスタートを切ったと見ている。
しかし、本人の目標はもっと高い所にあり、満足していないようだ。
4件成約する月もあれば、1件しか成約できない月もある。
また、同時に5人以上進捗する時もあれば、一人しか進捗しない時もある。
後輩:「いやー、武谷(たけや)さん、進捗件数が多ければ不安にもならないですが、
一人しか進捗してないとなると、さすがに不安になりますよ。」
私:「うん、そんな事はよくあるよ。
何件も進捗して、どうしてこんなに忙しいんだろうという時もあれば、
ポッカリと2~3週間スケジュール表が真っ白になる時もある。
そんなもんだよ。」
後輩:「そんなもんだよと言われても、武谷(たけや)さんは何年もやっているから
それなりの基盤があるでしょうが、私は去年から始めたばかりだから
不安で仕方ないですよ。」
私:「お前さ、俺たちは一人でやってるんだから、そんなに安定するわけないだろう?
リクルートエージェントじゃないんだから、そんな進捗件数を気にしても仕方ないよ。
慣れだよ、慣れ、その内慣れるよ。」
後輩:「お言葉ですが、進捗件数が少ない事に慣れたくないんですが。」
私:「じゃあお前、社員数を増やして大きくするしかないぞ。」
後輩:「結婚してパワーをもてあましているOGとかに手伝ってもらって、
あまり社員を増やさずに効率良くやりたいんですよね。
そんなOGもいないわけじゃないし。」
私:「それならそれでいいじゃん。
たくさんスカウトメールを打ってもらってさ、お前が毎月何十人も面談すれば、
コンスタントに3~4人成約するんじゃない?」
後輩:「そんなカタチで何とか安定させられたらいいと思います。」
私:「俺も最初はそうだったよ。
自分でスカウトメールをたくさん送って、毎月30~40人面談してさ、
最初は仕事量で勝負だよな。
まー、俺たちは 『まぐろの一本釣り漁師』 みたいなものだから、
2ヶ月や3ヶ月釣れなくても一喜一憂しちゃだめだな。
釣れても釣れなくても毎日漁に出るんだよ。」
後輩:「いやー、私はそんな 『一本釣り漁師』 の真似はできませんよ。
せめて、はえ縄漁ぐらいの感じでやりたいですね。」
私:「とにかく、お前なりに考えながら続ければ、何とかなるんじゃないか?
コツコツやれよ。」
後輩は、「いつ来ても全く参考にならないな」 と思っているだろう。
しかし、この後輩は1年後には不安から解放されていると思う。
全く心配していない。
今何をするべきかわかっていて、それを愚直に実行できれば、必ず結果は出る。
「途中にいるから中ぶらりん 底まで落ちて地に足が着けば ほんとうに落ち着く」 みつを
合掌。