「東京電力の大罪」
今日も藤屋伸二さん著の 「ドラッカー入門」 を引用させていただきながら、
私なりのコメントを加えさせていただきます。
ドラッカーのいう「大罪」とは? ⇒ 利益だけを追求すると、陥りやすい過ちがある。
(内向き発想は罪)
1 利益幅への過信
・利益は、粗利益率×回転率です。いくら粗利益率が高くても、売れなければ不良在庫に
すぎません。
⇒どんなに優秀なキャンディデートを抱えていても、成約できなければ利益を生みません。
2 限度いっぱいの価格設定
・限度いっぱいの価格設定は、競合他社への誘い水です。利幅があって顧客が不満を
持っていれば、新規参入者には、これほど好都合の市場はありません。
⇒人材紹介業界でも、「限度いっぱいの価格設定」が散見されませんか?
3 コスト中心の価格設定
・コストがいくらかかっても、顧客には一切関係ありません。顧客の関心は割安感です。
ですから、コスト中心の価格設定は通用しません。
⇒これが、今問題の東京電力の価格設定です。経費の3%を利益として上乗せし、
その負担を電力使用者(顧客)に負担させています。
4 チャンスの無視と軽視
・チャンスの無視と軽視は、現在うまくいっている企業でも陥りやすいものです。
例えば、ライオンなどの肉食獣は、満腹だと狩りをしません。現在、うまくいっているからと
いって、次の準備をしないのは、ライオン並みの経営です。
人間は、飢えていない時に、栽培や養殖・牧畜など、次の食事の準備をするから動物と
違うのです。
(企業の外部から考える習慣を)
・顧客志向や競合他社の存在を意識すれば、こうした過ちを犯す危険性は少なくなってきます。
つまり、企業の外に目を向けるのです。そうすれば、近視的・独善的な思考が、いかに危険か
見えてきます。
⇒地域独占で競合が無く、政治や官庁に守られてきた電力会社には、このように
企業の外に目を向けるという発想は無かったと思います。
東京電力をはじめとする電力会社にも、顧客志向や競合他社の存在を意識させるように
大きな政策転換が必要だと思います。
エネルギー供給を生業とする会社も市場原理の中で厳しく健全に経営されなければ、
その高コスト体質のつけが産業界全体に影響し、日本経済の競争力が益々低下します。
今は、これまでの過ちを正すチャンスだと思います。
「厳冬
樹木が余分なものを捨てる季節
樹木が孤独に輝く季節
樹木が黙って根を張る季節
そして1年の中で
樹木が最も充実する季節」 みつを
合掌。