「日本電産の永守社長」
日本も厳しい時代になって、そんな現在の経営者の代表格として露出度は高い。
このオヤジはどんな競争世界でも生き抜いて行くだろう。
むしろ、競争が原動力なのだ。
京セラより少し高い自社ビルを建てるあたりが、わかりやすくておもしろい。
日本電産と言えば、以前は社員に毎日トイレ掃除をさせていたことで有名だ。
JACにも、それが嫌で転職してきた社員がいた。
当時、この話を聞くと、我々エージェントはドン引きしたものだ。
「そんな会社に人材を紹介できるわけがない。
絶対辞退される。
仮に入社しても、すぐに退職する。」
実際、そうなっていた。
しかし、日本経済や、昔もてはやされた企業の業績が低迷する現在では
むしろ、「永守経営こそが日本を復活させる」 という論もある。
以前、一緒に働いていた女性のご主人の会社が日本電産に買収された。
「管理職は一般社員より早く出勤して、会社の周囲を掃除しなさい!!」
という通達が出された。
また、永守社長が直々に社員に講話をされた。
そしたら、その月の給与から研修費として5000円天引きされて驚いたそうだ。
おもしろい。
毎朝、掃除している上司を見て、一般社員が、
「おはようございます!! お疲れ様です。」
と言う。
上司も最初は恥ずかしかったが、毎朝やっているうちに当り前になってきて、
「おー、おはよう!! 今日も元気か?」
などと言う人も出て来る。
一般社員の中には、自主的に掃除を手伝う人も出て来る。
そうやって、ただ掃除をやっているだけだと思ったら、
会社が赤字から黒字になってボーナスも出た。
業績が良くなり、社員のモチベーションも上がった。
経営とは、こんな単純な話なのか?
上席にある人間が率先して働き、その姿や覚悟を見せる。
それを見た部下は、
「おいおい、俺もちょっと頑張らないとやばいな。」
となる。
以前は60%の力しか発揮してなかった社員が、90%の力を発揮する。
30%生産性が上がり、15%の赤字が15%の黒字に変わる。
なんてシンプルなんだろう!!
これはアナログな話ではない。
数学的な生産性の話だ。
好き嫌いは別として、これぐらいやらないと生き残れない環境になっている。
永守社長に、日本とギリシャとイタリアの債務問題を解決してもらいたい。
日本とギリシャとイタリアの首相を呼んで、トイレ掃除をさせればいいのだ。
トイレには神様がいるのだ。
「一倉定 の 経営心得」 に、このような一説がある。
「ワンマン経営こそ本当である。」
「ワンマン経営とは、社長が全てのことに権力をふるって勝手なことをすることではなくて、
社長ただ一人が事業経営の全ての責任を負うことである。
ワンマン経営のないところ、真の経営などあり得ないのである。
会社がつぶれたときの責任は、明らかに「社長ただ一人」にある。
文字どおり「ワンマンの責任」なのである。
このことを知っていれば、心ない人々が「あの人はワンマン社長だ」などという言葉が、
いかに誤っているか分かるはずである。
合議制、民主経営などということはまったくの誤りで、「ワンマン経営」以外はありえないのである。
何事も部下に相談し、会議で決めるというようなことは、厳しい現実に対しては、
決して正しいことではない。」
しかし、「成功は自分のおかげ、失敗は部下の責任」というおめでたい社長もいるから、
中途半端な「ワンマン社長」は信用されないのである。
「途中にいるから中ぶらりん 底まで落ちて地に足が着けばほんとうに落ち着く」 みつを
合掌。