「安易にインセンティブ制度を導入してはならない」
多くの人材紹介会社が、インセンティブ制度を導入している。
コンサルタント個人の粗利益の30%程度を還元する会社が多い。
やればやっただけ年収は高くなり、できなっかたらその分年収は下がる。
大変わかりやすい制度である。
マイクロマネジメントが大嫌いな外国人は、このようなシンプルな制度を好む傾向があり
高い年収を稼ぐためにガンガン働く。
しかし、これを放置しておくと、人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)の
個人商店化が進んでしまう。
個人商店化が進むと、コンサルタント同士が求人・求職情報を共有しなくなり
機会損失が起こる。
従って、インセンティブ制度を導入している人材紹介会社は、機会損失が起こらないように
するため、社内で業務ルールを定めているケースが多い。
しかし、業務ルールが定められていても、それがきちんと運用されている会社と
そうでない会社がある。
どちらかと言えば後者が多く、業務ルールが形骸化し、機会損失が起こっている会社が多い。
例えば、同じグループ内では情報共有されているが、他のグループとはされていないという
セクショナリズムの要因になっている。
また、仲の良いコンサルタントとだけは情報共有しているが、そうでないコンサルタントとは
していないというケースもよくある話だ。
年収に占めるインセンティブ比率が高い会社ほど、機会損失の危険性が高まる。
また、業績の良いコンサルタントが退職し独立するリスクも高まる。
従って、私は安易にインセンティブ制度を導入しない方が良いと考えている。
導入する場合は、年収に占めるインセンティブ比率をあまり高くしない方が良い。
一定以上の固定給を払い生活はできるようにした上で、インセンティブを上乗せで
支給してあげる。
半年や1年ごとに個人別に評価ミーティングを行い、貢献度の高いコンサルタントには
それなりのボーナスを払う。
「一倉定 の 経営心得」 に、このような一説がある。
「奨励金なるものは、絶対に取り入れてはならない。」
「奨励金なるものは、それがどのようなものであれ、事業経営においては絶対に取り入れては
ならないということである。
社員は、それぞれの考えをめぐらして、奨励金がもっともたくさんとれると思われる行動をとる。
各人の勝手な行動によって、会社の中はバラバラになってしまい、会社の力を一つに結集する
ことなど思いも及ばなくなる。
だからといって、これを規制しようとすれば、社員は「行動を規制されたら、もっと奨励金が
もらえると思うことがあっても、それがやれなくなる」という受け取り方をするに決まっているのだ。
奨励金というものは、「各人は自分勝手な行動をとってもよい」という意思表示に他ならない
のであり、これは、まさに経営権の放棄であり、いささかオーバーではあるが、
それは社長の社会的責任を自覚しないことである。」
「にんげん我慾のかたまり にんげんのわたし」 みつを
合掌。