「社内政治と上通性との違い」
私は最近サラリーマンを尊敬しているのです。
毎朝満員電車で決まった時間に出勤し、面倒くさい会議や打ち合わせ、
社内調整などストレスの塊のような仕事をして夜遅く帰宅する。
私自身もそのような生活を22年続けていたのですが、
今思えば、
「よく頑張った。」
と自分を誉めてあげたいです。
マラソンの有森裕子みたいですね。
リクルートと昔のリクルート人材センター(現:リクルートエージェント)とは全く違いました。
リクルートは既に大企業で、リクルート人材センターは単一事業、
典型的な村社会で中小企業だったわけです。
ですから、当時のリクルート人材センターやその後のリクルートエイブリックには
社内政治というものはほぼ存在しなかったわけです。
人によって要領の良し悪しはあったとしても、かわいいものです。
少なくとも他の社員の足を引っ張るなどという事は無かったと信じています。
中小企業ですから、お互いの名前、顔、性格、これまでの実績、全部わかっていました。
従って、社内政治なんか必要ないわけです。やっても無駄なんです。
次に課長になるべき人は? 部長になるべき人は? 役員になるべき人は?
みんながわかっているわけです。
*そうでもない人を課長にして、メンバーから大ブーイングを受けたこともありますが。
しかし、大企業リクルートではそうはいきません。
まずは、多数の事業を運営しています。
社員も数千人います。
お互いの名前、顔、過去の実績ぐらいはアバウトに知っていても、
本当の性格を熟知している人は限られるし、
甲乙付けがたい優秀な人材が多数いるわけです。
そんな厳しい環境の中で、出世レースに勝ち残るのは至難の業です。
リクルートの部長になるのは大変ですよ。
課長にはなれても、部長にはなかなかなれません。
部長というのは、次期役員候補です。
官僚の世界で言えば局長、次はトップの次官です。
だから、リクルートは同期の誰かが次官(役員)に上がると、
同年代の部長は一斉に異動させられていたわけです。
その時点で、「俺にはもう先が無い。」 とわかるので転職するんです。
そして、転職先の会社でいきなり役員になるので失敗も多いわけです。
従って、事実上40歳定年なんです。
私はプライベートな事情で勝手に定年を迎えたのですが、このようなバカは別として
真面目な部長はみんな役員になりたくて大変な努力をしているんです。
「サラリーマンになった以上は役員になって、自分の思い通りに事業運営したい。」
という欲求は正常だと思うのです。
偉くならないと、自分がやりたい事を実現できません。
だから、リクルートでは人によって、ある程度「社内政治」をやった人もいるでしょうが
横から見ていた範囲では、政治と言うより「上通性」の問題だと思います。
「社内政治」というのは、上司とドロドロの蜜月関係をつくり様々な策略を練って、
ライバルを一人一人消していくという感じですが、やりすぎると逆効果になり
自分が失脚します。
それに対して、 「上通性」というのは、自分がやりたい事を上司に認めさせる能力、
説明・説得力です。
「広求性」も似ていますが、これはもっと対象が広いです。
これは、上司も同僚もメンバーも全てにアピールして組織を巻き込む力です。
「社内政治」は、簡単に言えば権力者に好かれる力です。
もちろん、権力者に嫌われたら話になりませんので、「政治力」も一つの能力です。
しかし、「上通性」や「広求性」は、ビジネスパーソンとして不可欠な能力です。
この能力を持たずに、幸運にも「社内政治」だけで役員になれたとしても、
その後は大した仕事はできないでしょう。
では、どのようにすれば出世できるか?
1 現場のポイントを押さえる。現場のキーマンと蜜にコミュニケーションを取る。
2 現場の話を鵜呑みにせず、課題解決のビジネプランを策定する。
3 経営方針を理解した上で、その方向を後押しする提案をする。
4 最後は、さりげなく上司に華を持たせる。
5 不遇の時に腐らず真面目に働きチャンスを待つ。
6 チャンスが来たら絶対に逃さない。
結局、 「あ・お・い・く・ま」 なんですよ。
「焦らない」・「怒らない」・「威張らない」・「腐らない」・「負けない」
やはり、長期的に我慢強く勤勉に働いた人が偉くなっています。
ごかまし、まやかし、は効かないですね。
一言で言えば、「自己統制力」 なんです。
自分を統制できない人が、他人様をマネジメントできるわけがないのです。
私のように記憶が無くなるまで飲んで「二日酔い」しているような人間は、
経営者どころか管理職失格なのです。
そのような人は、できるだけ他人様にご迷惑をかけないように一人で働くべきです。
「張りすぎてもだめ たるんでもだめ ちょうどいいあんばいが一番いい」 みつを
合掌。