「すごい外国人キャンディデート」
今年の秋に人材紹介&派遣会社に入社され、
既に貴重な戦力になっている外国人の方がいる。
まだ20代の女性。
日本の大学院を卒業されSI会社で数年働かれていたが、
自分のやりたい事を再度考え直したいとの理由でお目にかかった。
もちろん、母国語、日本語、英語(中級)はできる。
私は、天安門事件当時の事を思い出した。
民主化を求める学生が、中国共産党に反旗を翻して撲滅された有名な事件だ。
24年前、私はリクルート人材センター(現:リクルートエージェント)の海外業務課長で
外国人や日本人留学生(MBA)に対するサービスを担当していた。
その時、陳さんという中国人SEの相談に乗り、資本系システム会社への
転職をサポートした。
その後、陳さんから格別に感謝され、美味しい巨峰を大量にいただいたり、
お友達をたくさんご紹介いただいた。
私:「陳さん、中国から逃げて来たと言うけど大丈夫?」
陳さん:「それわからない。」
私:「天安門事件に関わった学生の家族も逮捕されたり拷問されたりしているんでしょう?」
陳さん:「そうそう。」
私:「それじゃあ陳さんの家族や親戚は?」
陳さん:「連絡取れない。どうなったかわからない。」
私:「それじゃ心配でしょう?」
陳さん:「そうだけど考えても仕方ない。
とにかく、みんな生きていかないと。
だから僕も頑張るね。」
いやー、顔は日本人と似ているけど、メンタルの強さは比較にならないと思った。
自分の両親や兄弟が大変な目に合っているのに、この明るさと前向きさ。
話は戻るが、冒頭の20代の女性も凄い。
日本語で話していても、会話の中で行間を読む力がある。
少々考える間を取るが、それが一層信頼感を与える。
簡単に言うと、平均的な28歳の日本人よりもコミュニケーション能力が高い。
そして、私の質問に対して、内容の濃い回答が返ってくる。
日頃から物事を深く考えている証拠だ。
こんな優秀な外国人が大勢来たら、日本人学生の就職先はなくなるだろうと実感した。
更に、この外国人は大手志向ではなかった。
最終的に選んだのは、最も小規模なベンチャー企業だった。
彼女が意思決定した時に、私に送ってくれたメールの内容を鮮明に覚えている。
「たまたま複数の会社から内定をいただき迷っていました。
でも、そんな自分が恥ずかしくなりました。
やはり、規模や給料ではなく、本当にやりたい仕事かどうか?
本当に一緒に働きたい人かどうか?
そのような観点から会社を選ばなければ転職する意味が無いと思います。
是非、●●社様にお世話になりたいです。」
と書かれてあった。
喜びと言うより驚きだった。
素晴らしすぎる。
でも、本当に外国人が日本人相手の人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)として
通用するのか?という不安もあった。
実際、最初の1~2ヶ月は戸惑ったようだ。
しかし先日、社長さんに電話して伺うと、
「もう立派な柱で中核になってくれています。」
とのご回答だった。
凄いね。
日本人、このままじゃヤバイね。
俺が一番ヤバイけどね。
「アノネ ひとのことじゃないんだよ じぶんのことだよ」 みつを
合掌。