「新卒採用と中途採用とのバランス」
様々な人材紹介会社とお付き合いいただいているが、「新卒と中途とのバランス」は難しい。
ある程度の企業規模になれば、個人的には、「中途2:新卒1」 が理想的だと思っている。
それぞれにメリット、デメリットがある。
(新卒採用のメリット)
・学習意欲が高い。
・先輩社員の自覚が向上し組織が活性化する。
・素直で自社の社風に染めやすい。
・組織に厚みができる。
(新卒採用のデメリット)
・戦力化教育に時間がかかる。
・採用活動が長くパワーがかかる。
・新卒だから定着率が高いという時代ではなくなった。
(中途採用のメリット)
・即戦力採用ができる。
・経営幹部など新卒では務まらないポジションを埋められる。
・他社のノウハウやナレッジを吸収できる。
・良い意味で様々な性格や考え方を持った人を採用できる。
(中途採用のデメリット)
・自分のやり方を持っているので、柔軟性に乏しい人がいる。
・社風に馴染めない人は早期に辞めてしまう。
・一つの方向にまとまりにくい。
新卒であれ中途であれ個々人の性格や資質・バックグラウンドの問題なので、
十把一絡げに論じるのは乱暴だと思うが、あくまで傾向の話としてお許し願いたい。
言いたいのは、メリットはわかっているので、デメリットが表面化しないように
受け入れる企業側で入社後に十分ケアをしてほしいという事だ。
採用企業側も昔に比べると余裕が無く、採用後のケアが不十分な会社が多い。
単純に教育制度を充実させれば良いという問題ではない。
「制度より風土」が大切だ。
人事だけではなく、経営者を筆頭に現場のマネージャーや社員に至るまで、
「採用した以上、彼・彼女が踊りやすいステージを用意して長所を発揮してもらう」
という意識が浸透していないと駄目だ。
周囲の人が意識的に関わることが大切だ。
たくさんいじってあげてほしい。
すぐにニックネームをつくってくれる会社もある。
特に同期入社が少ない中途の社員をケアしてあげてほしい。
「自分の事で精一杯で他人の事など構う余裕はない?」
そんな事を言っていると、いつまでも離職率が下がらず、常時欠員補充をしなければならない。
人材紹介の仕事をやっている会社が、そんな事を繰り返していいのか?
社員があまり辞めない会社の社長さんを見ていると、採用にも積極的に絡むが、
その後の社員教育や日常のケアにも心血を注いでいる。
我々は他人の短所に目を奪われがちだが、偉い社長さんは社員の長所を活かそうとする。
これは大変な忍耐力と愛情を必要とすることだ。
そして、このような社長さんは、たとえ辞めた社員であっても退職後に飲みに行ったり
連絡を取ったりしている。
退職した社員も会社に遊びに来たりする。
そんな姿を他の社員もじっと見ている。
これが組織の求心力につながる。
凄い人間力だな。
私は逆さになっても真似できないので、今一人で働いている。
「名のない草も実をつける いのちいっぱいの花を咲かせて」 みつを
合掌。