「くそじじー事件」
以前、A社様から人事の求人をいただいた。
その求人に数名の方をご紹介し、お一人採用していただいた。
しかし、その際不合格になったBさんから、1年後にA社様の社長に恐ろしい手紙が届いた。
「くそじじーの●●社長殿
ご無沙汰ですね。
俺は1年前、あんたに落とされたBだ。
くそじじーだから、どうせ覚えていないだろうな?
しかし、くそじじーは人を見る目が無いな。
今年俺は社会保険労務士の試験に合格して、
お前の会社とは比較にならないほど立派な上場企業に合格したぞ。
ざまあ見ろ、このくそじじー!!
お前の人を見る目の無さ、無能さがわかったか?
それじゃあせいぜい頑張って、ボロ会社の社長でもやってろ。
このくそじじー!!」
この手紙には参ったな。
こんな執念深い変な人だとは思わなかったが、確かにプライドが高そうな人ではあった。
当然、A社様の社長は激怒した。
社長:「すぐに来い!!」
私:「一体何ですか?」
社長:「貴様、とんでもない人間を紹介しやがって!!」
私:「どういう意味ですか?」
社長:「いいからすぐに来い!!」
社長が怒るのももっともだ。
理屈じゃないので、とにかく社長の話を聞くしかない。
1時間でも2時間でも聞く。
社長:「お前、ふんふん聞いているだけじゃ駄目だぞ。
このBと言うとんでもない男を連れて来て、俺の前で土下座させろ!!」
私:「わかりました。
Bさんに連絡を取って謝罪していただきます。」
今日は一旦話を持ち帰るしかない。
Bさんに連絡してみよう。
私:「Bさん、ご無沙汰しております。」
Bさん:「あー、どうも。」
私:「Bさん、失礼な事をお訪ねしますが、A社の社長に手紙を送りましたか?」
Bさん:「えー、送りましたけど。」
私:「Bさん、社長はご立腹されて、謝罪してほしいとおっしゃっています。
どうされますか?」
Bさん:「全く謝罪する気はありませんよ。
こっちが謝罪してほしいぐらいですよ。」
私:「どうしてですか?」
Bさん:「最終の社長面接だと思って期待して行ったのに、大変失礼な圧迫面接でしたよ。
あの社長は応募者を何だと思っているんですか?
武谷(たけや)さんからも指導してくださいよ。
とにかく私は絶対に謝罪しません。
私は出る所に出ても構いませんよ。
先に私の名誉を汚したのは、あのくそじじーですから。」
私:「わかりました。
私から社長にお伝えします。
ただ、二度とあのような手紙を出すのはやめてください。」
Bさん:「それはわかりました。」
翌日、気合を入れて、A社様の社長をお訪ねた。
私:「社長、Bさんは最終面接での社長のご対応に気分を害されたそうです。」
社長:「なんだと? 面接だから多少厳しい事も言うよ!!」
私:「そうですね。
しかし、Bさんはとにかく謝罪するつもり全く無いとのことでした。」
社長:「なにー!! 首に縄つけてでも連れてこい!!」
私:「社長、私が代わりに土下座させていただきます。」
土下座・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
床に頭をつけて10分間。
社長が何を言っても黙って土下座。
社長:「もういい。お前に土下座されても仕方ない。」
私:「社長、つまらない事に関わっていると、運気が悪くなります。
もう一度、Bさんの手紙を見せてください。」
バリバリバリ・・・・・・・・・・・。
社長の前で手紙をこなごなに破り捨てた。
社長:「何をするんだ!!」
私:「渇!!
邪気をはらいました。
これで御社も安泰です。
では失礼致します。」
「ひとの世の幸不幸は人と人とが逢うことからはじまる よき出逢いを」 みつを
合掌。