「大手からベンチャーへ」
先週、大手人材紹介会社からベンチャー企業の人材紹介部門に転職する人が来社した。
ブログかフェイスブックで私を知ったらしく、アプローチしてきた。
大手人材紹介会社では、順調に昇進して若くして管理職をやっている。
今度のベンチャー企業の人材紹介部門では事業部門責任者となる。
1000人以上の会社の管理職から、数十名の事業部門責任者へ。
勇気ある転職だ。
転職する前に、大手からベンチャーに転職する際に気をつけた方がよいことを
色々な人に聞いてまわり今後の参考にするつもりらしい。
無計画で出たとこ勝負の私とは違って偉い人だ。
この人が一番気にしていたのは、転職先のメンバーのモチベーションだった。
情熱的な前任の責任者の方が立ち上げた事業部門であり、育ててきたメンバーたちだ。
「責任者の交代によるメンバーのモチベーション低下が何よりも心配です。」
と、しきりに気にしていた。
戦略や戦術の前に、まずは、メンバーと円滑なコミュニケーションが取れる関係になることを
第一目標に置いていた。
若いのに、一番大切な事にちゃんと気づいている。
まともなコミュニケーションも取れない関係なのに、新たな営業方針や戦略・戦術など、
メンバーが聞く耳を持つわけがない。
しかし、私も含めて大半の新参者は、自分が正しいと思う方針や戦略さえ指し示せば
業績が上がると勘違いしている。
これで見事に失敗するのだ。
メンバーはロボットじゃない。感情を持った人間だ。
感情的に受け入れることができる人の言う事しか聞かない。
この若き事業責任者は、その事をよく理解している様子で、
「初めの1年目は信頼関係をつくることで精一杯でしょうね。戦略は二の次です。」
と言った。
私は、
「ある程度のロードマップを書いたら、自分が正しいと思う事を真剣に伝えて、
一つ一つ実行していくしかない。
うまく行かない事もあるだろうが、結果が出るまで言い続けやり続けるしかない。
メンバーの中でもキーマンがいるはずだから、
特にそのメンバーとはできるだけ多くコミュニケーションを取るようにした方がいい。」
と言ったが、自分で言いながら全然説得力が無いと思い苦笑した。
私はこの若者にアドバイスできるようなものは持ち合わせていない。
やりたいようにやればいい。
この若者の転職理由?
「大手では社長になれないのでつまらない。」
という大変シンプルなものだった。
「大手人材紹介会社を辞める人たちは、異業界に転職する人が多いので残念です。
私は人材紹介業が好きだし、まだまだやりようがあると思っているので、
同業界への転職を決めました。」
と言っていた。
話がわかりやすく、うそが無いので好感を持った。
「私は今までは自分の会社を大きくすることしか考えていませんでした。
しかし、今後は人材紹介業全体をもっと良くすることを目標に仕事をします。」
と言って帰って行った。
近い内に再会する日が来るだろう。
健闘を祈る。
「夢はでっかく根はふかく」 みつを
合掌。