「ホラ吹き支社長のめちゃくちゃなクレーム対応」
昔、私の先輩のSさんが横浜支社の営業課長だった頃、上司の横浜支社長が
ホラ吹きのMさんだった。
ある日、大手紳士服チェーン様からクレームを頂戴し、本社に二人でお詫びに行った時の話だ。
先方は管理部門担当取締役のAさんで、切れ者で厳しい方であった。
A取締役:「ただ頭を下げられても困るよ!!
先にお金を払ったんだよ!!
約束通り、適格な人材を紹介してよ!!」
M支社長&S課長:「誠に申し訳ございません。」
A取締役:「だから、ただ頭を下げられても困るんだよ!!
紹介できないなら、お金返してよ!!」
S課長:「承知致しました。
本日も帰りましたら、至急御社にご紹介できるように首都圏の全拠点に指示します。」
A取締役:「そんな事はもっと早くやってよ!!」
S課長:「はい。
これまでも何度も指示しておるのですが、御社に通勤できる範囲に居住されている
人材が限られる為、正直苦戦しております。
ただ、転居しても良いという人材にも、積極的に声をかけて参りますので、
今しばらくお待ちくださいますよう、宜しくお願い致します。」
A取締役:「一体いつまで待てばいいの!!」
M支社長:「重役、申し訳ございません。
お怒りはごもっともです。
おいS、重役のお立場をこんなに悪くしてはいかんぞ!!」
ここで、M支社長のホコ先は、いきなり部下のS課長に向く。
M支社長:「S、お前は、○○とか、○○とか、他の採用手段のご提案はしたのか?」
S課長:「え!!
いや、それはまだ・・・・・・。」
M支社長:「バカヤロー!!
お前は、こんなに重役がお困りなのに
まだ提案しておらんのか!!
そんな事で営業課長が務まるか!!
この能無しが!!」
S課長:「は!! と言われましても・・・・・・・・。」
味方であるはずの支社長に不意打ちをくらい、完全に目が点になったそうです。
S課長は、他の手段を提案しても過去の実績上、採用できる可能性が低いと判断して
提案していなかったのです。それなのに・・・・・・。
M支社長:「バカヤロー!!
ボーとしてないで、早くご提案しろ!!
わかったか!!」
A取締役:「まあまあまあ、M支社長さん、そんなにS課長を怒らないでください。
そんなに興奮されずに、今日のところはわかりましたので、
もう一歩踏み込んだ御社の努力を期待してます。
まあ、お互い部下には苦労させられますなー。」
M支社長:「いやー全くです。
興奮してお恥ずかしい所をお見せしました。
何卒ご容赦ください。」
A取締役:「まあまあ、M支社長のご苦労、お察ししますよ。
難しい求人だとは思いますが、よろしくお願いしますよ。」
M支社長:「ははー。
ありがとうございます。
全力で頑張ります!!」
S課長:「は、ははー。
頑張ります・・・・・・。」
こんな調子でクレーム対応を終え、お客様の本社屋を出た直後に、
M支社長:「おいS、うまくいったな!!」
S課長:「はー!!
あれは演技だったんですか!!」
M支社長:「あーでもしないと、おさまらないだろう?」
S課長:「もー、Mさん、勘弁してくださいよ!!」
こんなめちゃくちゃなクレーム対応があって良いのだろうか?
何の問題解決にもなっていない、その場限りの時間稼ぎの猿芝居。
この後のフォローが更に大変だったのは言うまでもない。
「なるべくなら うそのないほうがいい」 みつを
合掌。