良い記事なので、日経ビジネスの下記記事を引用させていただきます。
何卒ご容赦ください。
「不況の今こそ、数字より質の追及」 筆者:神谷秀樹氏
米国の「レノックス」、英国「ウォーターフォード・ウェッジウッド」と、ここ最近、老舗ブランドが相次いで破綻した。ここ最近の不況を考えると、これも仕方がないのかもしれない。だが両ブランドとも愛用しているだけに、この先の両社の行く末が心配でしょうがない。
「レノックス」はクリスマス専用のお皿とティーカップのセットを20年ほど前に揃えた。毎年我が家のクリスマスの食事はいつもこの皿に盛られる。一方の「ウェッジウッド」も同じ頃に、フォーマルな食器を揃えた。ロンドンの店で注文し、届くのに9カ月くらいかかった。これだけ時間がかかったのは「注文生産」だったからだが、店でそれを聞いた時に「なるほど」と思ったのを今でも覚えている。
高級ブランドの破綻にはパターンがある
ロバーツ・ミタニの仕事としてブランド企業のアドバイスをしているので、どうしたらこのような老舗の価値を高められるのか、または破綻させないのかという経営問題について長年、考えてきた。筆者なりに分かったことは、破綻の理由には、いくつかの決まったパターンがあることだ。
第1は「売れるから」と言って拡大経営に走ることである。拡大すれば、質が追いつかなくなり評判が落ちる。設備投資、運転資金が大きく張る一方、業績は景気に大きく左右されるようになる。公開した企業、ファンドに買われた会社にはこうした道をたどるところが多い。
東京の銀座や青山などに大きな店を出した欧州ブランドなどにも、今後こうしたことが起きるケースは増えるだろう。日本の高級ブランド市場の売り上げ規模は、かつて全世界の40%も占めていたのに、最近では10%までに縮小している。
ストラディバリウスも、おでん屋さんも同じ
これに対して業容を拡大しない「家業」の老舗はまず潰れない。私がよく例に出すのは弦楽器のストラディバリウスだ。バイオリンが有名だが、チェロとなると1年に3台しか作れないそうである。
彼らの商品は、高価で売れる。売れ残りの心配など全くないと言っていい。だからと言って、彼らが「作れば確実に高価で売れる」と言って、年に30台、300台と生産するようになったら、先行きは暗いものになるだろう。現在の質を維持できるとは思えないからだ。
これは高級ブランドに限らない。よく例に出すのが、おでん屋さんだ。屋台1台で営業するおでん屋さんも、絶対に潰れない。「あそこのおでん屋はおいしい」と評判が立ち始めたからと言って、借金していくつも店を持ち始めれば、いつかは味が落ち、せっかくの評判もガタ落ちになってしまう危険が高まる。屋台1台であれば、顧客はすべて常連。現金商売で毎日必ず儲かる。
老舗の経営は、近代経営論に馴染まない
経営者や株主が、自分たちのブランドの価値がどこから生まれているのかを見失う場合も、先行きは暗い。そうした経営者や株主が支配するブランドは、販売拡大もしくは経費削減に走り、商品価値を生んでいる技術をないがしろにする傾向にあるからだ。
ここに書かれてある事は、なるほど納得ですよね。
しかし、 「商品価値を生んでいる技術」 と最後に書かれてある点が問題です。
人材紹介業は差別化が難しいビジネスだと言われています。
百貨店型で求人数と登録者数の絶対数で勝負する大手紹介会社に対して、我々のような
中小零細紹介会社は、せいぜい業界特化や職種特化、エリア特化などで勝負するしかない。
そもそも一般的に差別化手段は、以下の三つに収斂されます。
1 製品の品質を他社よりも高める。
2 アフターサービスを良くする。
3 価格を安くする。
上記3は、本質からずれるので、ここでは除外して考えましょう。
そうして、上記1と上記2に関連する事で考えると、人材紹介業では何ができるのか?
・紹介の精度
求人企業にとっても、登録者にとっても、「これだ!!」と思うようなキャンディデートと求人を
提案できる。
当然これができるためには、当該業界や当該職種に関して詳しくなる必要があるので、
各社は業界特化や職種特化を行っている。
・提案力
求人企業や登録者が気づかなかった事を教えてあげることができる。
「確かにそんな人材も必要かもしれない。」
「確かにそんな仕事もおもしろいかもしれない。」
「もっと早く選考しなきゃ。」
「もっと給与水準を上げなきゃ。」
「職務経歴書を書き直さなきゃ。」
「面接の練習をしなきゃ。」
「希望給与を相場並みに下げなきゃ。」
・スピード
即日紹介。
結局、担当コンサルタントの力量次第という単純な話ですね。
だから、コンサルタントの採用と教育(マネジメント)が大切なんです。
上記の「紹介の精度」、「提案力」、「スピード」は、機能的サービスですが、
もう一方で、「邪魔にならない程度によく顔を出す」、「ちゃんと話を聞いてくれる」、
「親身になってくれる」、「まめに連絡をくれる」 など情緒的サービスも欠かせませんね。
中小零細エージェントは、「情緒的サービス」において、大手紹介会社と明確な差を
つけなければなりません。
「One&Only」のサービスが求められますね。
更に今後は、「アフターサービスを良くする」 という意味で、
本当の意味での成功報酬制が求められるかもしれません。
「入社6ヵ月後に期待通りの人材だったら払う」とか。
これは、我々にとって厳しいですよね。
でも、一部の求人職種では現実になるかもしれませんよ。
「入社時:20%、入社6ヵ月後10%」とか。
しかし、「期待通り」とか「期待はずれ」とか主観が入りますし、故意に悪い申告もできます。
また、人は6ヶ月程度では判断できないので非現実的ですね。
それであれば、TTPの方が合理的です。
とにかく、お客様に選ばれるエージェントとなるべく、永遠に努力が必要ですね。
同業者の皆さん、頑張りましょう!!
「ともかく具体的に動いてみるんだね 具体的に動けば具体的な答が出るから」 みつを
合掌。