「KPI によるマネジメントは是か非か?」
KPI とは、
企業目標やビジネス戦略を実現するために設定した具体的な業務プロセスを
モニタリングするために設定される指標(業績評価指標:performance indicators)をいい、
その中で特に重要なものを指す。
「KPI」 という言葉をよく聞きますね。
要するに、プロセス指標を活用したマネジメントの事ですよね?
しかし、この「KPI 」 は、使う時とか、使い方とか、使う対象者を間違えると逆効果ですね。
これを人材紹介業にも導入している会社は多いでしょう。
・訪問件数、求人社数、求人件数、紹介件数、面接件数、内定数、成約数
・スカウト件数、面談数、紹介件数、面接件数、内定数、成約数
このような項目の数値をシステムから吸い上げて、個人別、グループ別、支店別、全社等の
表を作成して、
「さあみんな、何が良くて何が悪かったか?振り返って改善ポイントを強化しよう!!」
というような事をやっていると思います。
実際、私もリクルートエイブリック(現リクルートエージェント)時代や、
JACジャパン(現JACリクルートメント)時代にやってました。
その時はまだ、「KPI 」という言葉は使われなかったけれど、 「行動プロセス管理」
という名目でやってました。
日常のマネジメントだけでなく、一部評価にも使っていました。
しかし、これがプラスだったか? マイナスだったか? 賛否両論あるでしょう。
(プラス)
・業績(結果)の原因分析がある程度できる。
・業績上位者や業績下位者の要因分析がある程度できる。
・業績下位者の指導ポイントがある程度わかる。
・近未来の業績予測がある程度できる。
(マイナス)
・メンバーが「管理されている感」を持つ。
・「現場を見ずに数値だけ見て何がわかる?」 とメンバーの気持ちが遠ざかる。
・どうやって数値をアップさせるかまで、具体的に踏み込んだ指導がなければ意味が無い。
⇒要するに、モチベーションが下がるメンバーが多い。
マネジメントする側の単なる「おもちゃ」になる場合がある。
業績上位者にとっては、「結果が全てですよ。そんな数字がどうした?」 となる。
業績下位者にとっては、「結果が出せなくて焦っているのに、それに追い討ちを
かけるような数値を出すな!!」 となる。
マネジメントする側とメンバーとの間の信頼関係が無いと失敗する。
しかし、会社としては、メンバー個々人に丸投げで、 「結果は野となれ山となれ」
では怖すぎるから、何かある程度信頼できるプロセス数値をコレクションするために
大きな労力を使う。
これが煮詰まると、マネージャーもメンバーも集計・分析スタッフも、みんな疲れてしまう。
今でこそ自戒を込めて笑っちゃいます。
「KPI 」 を否定するつもりはないのです。
会社として、事業部として、何らか統一された「物差し」は必要でしょう。
ただ、使う時、使い方、使う対象者を選んだ方がいいと思います。
新卒や中途新人などキャリアの浅い人には、ストレッチの材料になるでしょう。
それから、明らかに行動量の少ないメンバーにも。
メンバーと改善策を一緒に模索する時、メンバーに振り返りの資料として配布して
自分で考えてもらう時、メンバーを誉める時など、「KPI 」がモンスターではなく
メンバーにとっても有用な資料と認められるような使い方をした方がいいです。
でも、所詮はただの数字。
やはり、日常的な営業同行、面談同席、電話やメールでの具体的なトークなど、
実戦的な踏み込んだ指導をしなければ、「KPI」だけでは人を動かせないでしょう。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」
合掌。