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社長ブログ 人材コンサルタント25年史

「なぜ応募しなかったのか?」その理由が大事です。

「なぜ応募しなかったのか?」 その理由が大事です。
 
今日は提案営業の話です。
 
リクルートエイブリック時代に、当時、営業マネージャーだった船本さんと話していて
 
「これをやろう!!」
 
という事になったんです。
 
当時、私は首都圏一部という部でIT業界及び電気・電子・機械・化学業界を担当していました。
 
そこで話題になっていたのが、こんな話でした。
 
私:「お客様(求人企業)にとっては、我々の活動はブラックボックスで何も見えないよね。
   本当に一生懸命人材を探しているのか?本当に紹介する努力を最大限しているのか?」
 
船本君:「僕はそれをちゃんと毎月レポートすべきだと思うんですよ。
      それが求人を依頼していただいている我々の義務だと思いますね。」
 
私:「そうだよね。
   毎月の活動報告書を作成して、それをRA(営業)がお客様に持参して説明すべきだよね?」
 
船本君:「そうです。  
      その活動報告を行う中で、より深い提案もできると思います。」
 
私:「会社の魅力をもっと聞き出すとか、選考スピードを早くしてもらうとか、そもそもの
   採用ターゲットを変えてもらうとか、給与条件を改善してもらうとか、いろいろあるよね?」
 
船本君:「相当様々な提案をするキッカケになると思いますね。
      今、RA(営業)に何か武器を持たせてやりたいんです!!
      そんな武器があれば、営業のおもしろさをもっと体感できると思うんですよ。」
 
:「俺は人材紹介会社の最大の武器の一つは、その求人を紹介したのに
       応募しなかった人の辞退理由がわかることだと思うんだよね。
   これって転職サイトや求人情報誌では絶対にわからないじゃない?
   応募してきた人の事しかわからない。」
 
船本君:「そうなんですよ。
      応募してきた人に 『なぜ当社に応募したんですか?』 と聞くことは簡単ですが
      それが求人広告の限界ですよね?
      本当は応募しなかった人から辞退理由を聞く方が重要なのに。」
 
私:「そうなんだよ。
   以前、野村證券に営業に行った時に、人事課長が、
       『都市銀行や総合商社に入社する人を野村證券で採用したい。
   そんな人を紹介してください。』 とおっしゃるので、『それは無理です。』
   と言ったんだよ。
   『いくら人材紹介会社でも、野村證券に行きたくない人を強引に連れて来ることはできません。
   もっと採用と言うものを抜本的に考え直さないと、そのような人材を採用するのは無理です。
   これまで御社は野村證券ファンばかりを採用してきた。しかし、御社が本当に欲しい人材は
   野村證券ファン以外の母集団の中に存在している。だから、首都圏1万人のビジネスマンに
   就職先・転職先としての野村證券をどのように思うか?アンケート調査を行って、そこから
   出て来る課題をベースに、野村證券のイメージを変えなければいけないと思います。』
   と提案したんだけど、何か意味がわからないみたいだった。」
 
船本君:「そんな提案も毎月の活動報告の中でできますよね?
      例えば、マイクロソフトを100人に紹介したけど実際に応募したのは30人で、
      残りの70人には辞退された場合、その70人が応募辞退した理由をCA
      (キャリアアドバイザー)が聞き出して記録しておきレポートにまとめればいい。」
 
私:「将来は数種類の辞退理由をPC上でクリックすれば自動集計されるシステムにすれば
   いいよね?」
 
船本君:「凄い差別化になると思います。
      最初はCA(キャリアアドバイザー)に頼んで、手書きで辞退理由をチェックできるような
      チェックシートを作って対応するしかないですね。
      忙しいCAが協力してくれるかな?」
 
私:「俺がITグループのCAミーティングで頭を下げるよ。
   当座3ヶ月、無理なら1ヶ月やってほしいな。」
 
という事で確か1ヶ月やってみようという結論になりました。
 
そして当時、大手IT企業担当グループのマネージャーだった六郷(ろくごう)さんが、
 
マイクロソフト様に活動報告書を持って説明に行きました。
 
六郷さん:「いやー、マイクロソフトさんでは凄い感謝されましたよ!!
       『こんな貴重な資料を提供してくれて、本当にありがとう。』 と言われました。
       マイクロソフトを応募辞退した人の多くが、マイクロソフトの経営方針が嫌い、
       マイクロソフトは技術志向ではなくマーケティング志向なのでエンジニアには
       抵抗がある、マイクロソフトのプロダクトが嫌い、などなど、人事サイドの問題で
       エンジニア採用が難航しているのではない。
       マイクロソフトの経営方針に根本原因があると証明できたんです。
       今まで人事は、現場から『何やってるんだ!!早く採用しろ!!』 と言われ
       続けて来たので、この資料のおかげで大変助かると言ってました。
       やっぱり、活動報告は必要ですね。」
 
このように人材紹介会社にしかできない提案をしなければ、単なる紹介屋になってしまうと
思うんです。
 
しかし、現実は難しく、予想通りCAの皆さんには大きな業務負荷となったようで
この試みは一度限りのトライアルとなってしまいました。
 
しかし本来、人材紹介会社は目先の業績を追いかけるだけでなく、
定期的な活動報告を求人企業にすべきであり、それをテコにして様々な課題解決提案を
行うべきだと今でも考えています。
 
「やれなかった やらなかった どっちかな」   みつを
 
合掌。

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プロフィール


武谷 広人
人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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