「不謹慎だ。帰れ!!」 事件
中央支社(神田)で営業マネージャーをやっていた時の話です。
営業ウーマンのNさん(カメと呼んでいた)と新規企業に営業同行しました。
私:「おいカメ、今日はどこに行くんだ?」
カメ:「今日の会社は優良企業だと思いますよ。」
私:「本当か?また貧乏くさい会社に連れて行くんじゃないか?」
カメ:「そんな事ないですよ。ちょっとは信頼してくださいよ。」
私:「お前がMVPを獲ったら信頼してやるよ。」
くだらない会話をしながら、訪問先の医薬品メーカーに行きました。
相手は人事の次長さんだったかな? 50歳前後でしょう?
途中まで普通の展開で話をして、「経理」求人があったと思います。
人事次長:「ところで、経理の人材はお宅に何人登録されているんだね?」
私:「年間1万5千人の内5%程度ですから約750人。
それを12ヶ月で割ると月60人程度ですね。
でも、年齢やスキルで更に絞ると、月に10人いるかいないかですね。」
次長:「じゃあ、その10人を早く紹介してよ。」
私:「ご紹介したい気持ちは山々ですが、御社のセールスポイントは何ですか?」
次長:「当社は小さな医薬品メーカーだが、独自に開発した新薬を世に出している。
これぐらいの規模で、これだけの開発力を持っている会社は少ない。」
私&カメ:「なるほどー。
それは素晴らしいですね。」
次長:「これからも新薬開発に力を入れて会社を大きくしていくので、管理部門も強化したい。」
私:「なるほど、わかりました。
ところで済みませんが、御社の売上と利益は幾らですか?」
次長:「当社は上場して公開しているから調べたらわかるだろ。」
カメ:「済みませーん。調べてきました。武谷(たけや)さん、これが売上と利益の実績です。」
私:「あーどれどれ。
売上100億円、経常利益40億円!!
ぼろもうけしてますね!!」
次長:「ぼろもうけとは何だ!!
不謹慎だ!!」
私:「だって凄い利益率じゃないですか?」
次長:「ぼろもうけとは何だ!!
新薬の開発には長い時間とお金がかかるんだ!!
これぐらいの利益を出しても、ほとんど開発に消えてしまうんだ!!」
私:「そうですか?
勉強不足で済みません。
でもやっぱり、ぼろもうけですね。」
次長:「君は全く医薬品メーカーの苦労がわかっとらんようだな。
もういいから帰れ!!」
私:「いや、世の中の会社の平均的利益率から見て、突出してもうかっているという
事実を述べたまでで、逆に貴方は世の中の会社の利益率を知らんのですか?」
次長:「帰れ!! とにかく帰れ!!」
カメ:「どうも済みません。大変失礼しました。
今日は一旦帰ります。
申し訳ございませんでした。」
こんな感じで、一体どっちがマネージャーで、どっちが平社員かわからなくなりました。
カメ、折角アポイント取ったのに迷惑かけてごめんね。
でもやっぱり、ぼろもうけはぼろもうけやで~。
「アノネ なるべくなら うそはないほうがいいんだなあ
オレそんなこという資格はねえけどね」 みつを
合掌。