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「クレームの嵐（その２）社長黙れ事件」

2011-6-27
カテゴリー：クライアントとのトラブル続発

「クレームの嵐（その２）社長黙れ事件」

今日は、駆け出し「売れない営業マン」時代のクレーム（その２）です。

池袋の空気清浄機メーカーが、求人情報誌で営業マンを募集されていました。

私：「お世話になってまーす。

　　　今日は社長、いらっしゃいますか？」

と極めて明るく、いつも出入りしている馴染みの営業マン風に電話したら、

受付さんが騙されて、社長に電話がつながりました。

＊ＴＥＬアポ（アポ取り）の鉄則。馴染みの営業マンか社長の知り合いに成りすます。

社長：「はい。はい。今日は何？」

私：「社長、はじめまして。

　　　いつもビーイングなどでリクルートが大変お世話になっております。

　　　今も募集されていますが反響はいかがでしょうか？」

社長：「うーん。今回は駄目！！　

　　　　まだ３人しか問い合わせがないぞ。」

私：「えー！！　それは大変失礼致しました、

　　　私が早速お詫びに伺います。」

＊当時の先輩、渥美さんが生み出したトーク、「早速お詫びに伺います。」　は使える。

社長：「お詫びって、あんた誰？」

私：「申し遅れました。私は、リクルート人材センターの武谷（たけや）と申します。

　　　リクルートグループの中では、特別な仕事をしておりまして、

　　　御社にピッタリの人材を選んで直接お連れするという仕事をしております。」

社長：「そんなの聞いたことないぞ？」

私：「はい、その辺の所を今回のお詫びも含めて、ご説明にお伺いします。

　　　早速ですが今日の４時はいらっしゃいますか？」

＊必ずこちらから時間指定するのが鉄則。

社長：「えー４時？　多分いるにはいると思うが・・・。」

私：「それでは４時に伺います。失礼します。」

＊アポイントが取れそうになったら、相手の気が変わる前にすぐに電話を切る。

その企業の成長に貢献できる素晴らしい人材をご紹介するのですから、

アポイントは多少強引でも取ります。

ここで腰が引けたら、一向に魅力的な求人開拓ができません。

我々には、転職希望者の代わりに求人を開拓する使命があります。

さて、電話での会話の通り、午後４時に池袋の空気清浄機メーカーに訪問しました。

幸い社長さんもご在席で、すぐに出て来られました。

５０代後半ぐらいの恰幅の良い、いかにもたたきあげのオーナー社長です。

私：「お忙しい中、ありがとうございます。リクルート人材センターの武谷（たけや）と申します。」

社長：「ふーん、人材センター？　そんな会社あるの？」

私：「はい、このように年間で１万人以上の方々がご登録されておりまして、

　　　その中から御社にピッタリの人材を選んでお連れします。」

　　　＊パンフレットを開いて関心を持っていただきます。

社長：「知らなかったな。

　　　　うちはリクルートの池袋営業所の○○さんが担当してるけど、

　　　　こんな話は聞いたことないぞ？」

私：「リクルートの子会社ですが、当社のサービスはビーイングのライバルですので、

　　　あえてご紹介してないと思います。」

＊当時のリクルートの悪い点です。

　グループ内で競合させているので、お客様から見た時に不可解で不明朗。

　誠に申し訳ございません。当時の経営陣に成り代わり、お詫び申し上げます。

社長：「そうか。お前の会社は商売がうまいな。」

＊当時のお客様は大変寛容な方が多く救われました。

　　多分、この社長も商売上手だったのでしょう。

私：「恐縮です。

　　　しかし、この度はビーイングでの反響が悪いとの事ですが、申し訳ございません。」

社長：「それはもういいから、早くお前の所に登録されている人を紹介してくれよ。

　　　　明日連れて来てくれ。」

私：「へへ、ご冗談でしょう？　

　　　登録されていらっしゃる方にも意志がありますから、そんな早くは無理です。」

社長：「だってお前、さっき１万人登録されていると言ったじないか？」

私：「はい、１年間に１万人です。

　　　月間では８００人。その内、東京では６００人。

　　　その内、営業職の方は３００人です。

　　　ただ、その３００人の中でも、社長のお眼鏡に適う方は、３０人ぐらいかもしれません。」

社長：「いいよ。その３０人紹介してくれ。」

私：「いや、その３０人の方々は、引く手あまたですから、既にいろいろな企業様にご紹介中です。

　　　御社には、今後新たにご登録いただく方々の中からご紹介させていただきますので、

　　　少々お時間をください。」

社長：「なんだー、順番待ちか？」

私：「はー、大変恐縮ですが、採用には時間がかかります。求人広告でもそうですよね？　

　　　取材して原稿作って雑誌が出るのが１週間後で、反応があっても面接に呼んで、

　　　会ってみても採用できる確率の方が小さい。

　　　その点、当社でしたら、初めのご紹介には、求人広告と同じように２週間ほどかかりますが、

　　　その方は事前に当社で面談をして、御社に相応しいと思う方を選んでご紹介しますから、

　　　ご採用になる確率は高いです。」

社長：「うーん、わかった。わかった。それでもいいから、とにかく紹介してくれ。」

私：「ありがとうございます。それでは、サービスの流れやコスト面のお話をさせていただきます。」

社長：「あー、それは後でいい。細かい事は総務部長に話せ。

　　　　おーい、○○部長、ちょっと来てくれ。」

＊総務部長さん現る。

私：「社長！！　ご紹介する前にお金がかかるんですが、いいんですか？」

社長：「そんなのは池袋営業所に、これまでたくさん払ったから池袋営業所からもらえ。」

私：「はー！！　社長、それはちょっとまずいですよ！！　別会社ですから。」

社長：「それよりな、俺は今までいろいろやってきた。危ない橋も渡ったぞ。

　　　　楽して社長になったわけじゃない。しかし、今回の商売は当ったな。天井を見ろ！！

　　　　お前の会社には、こんなの無いだろう？」

＊大きな空気清浄機が天井に埋まっていた。

私：「社長！！　それよりもサービスの流れとお金の話を・・・・・。」

社長：「これがあれば、ホコリもタバコの煙もいちころだ。その代わり高いぞ。

　　　　１台２００万円だ。お前の会社で買え！！そしたら金も払ってやる。」

私：「・・・・・。」

社長：「今からタバコ吸うから見てろ。○○部長も吸え。」

私：「・・・・・。」

社長：「よーし、スイッチ押すぞ。ほらほら、もう煙が無くなった。いいだろー。

　　　　社員の健康のために、最低５０坪に１台。お前の会社は何坪だ？」

私：「社長、ちょっと黙ってくれませんか！！ 　

　　　さっきからサービスの流れとお金の説明をすると言ってるじゃないですか！！　

　　　話すのは私の説明の後にしてください。　

　　　そんな勝手にしゃべったら、　応募者が面接に来ても入社しませんよ。」

社長：「？？？・・・・・。」

＊社長は急に黙り込み奥の部屋に引っ込まれました。

私：「社長、どこに行かれるんですか？」

総務部長：「ちょっと、あんたが怒るから、社長がへそ曲げちゃったじゃない。」

私：「済みません・・・・・。」

総務部長：「悪いけどー、今日はもう帰ってよ。」

という嫌なムードの中、帰社しました。

そしたらやはり、リクルートの池袋営業所のリーダーから電話が。

池袋リーダー：「お前か、武谷（たけや）とか言う馬鹿新人は？

　　　　　　　　　　○○社の社長に何を言った！！」

私：「はー？　うるさいので黙れと言いました。

　　　だってあれじゃあ面接でも応募者に敬遠されますよ。」

池袋リーダー：「お前、大事なお客さんだぞ！！どうしてくれるんだ！！」

私：「どうしてくれるとは？」

池袋リーダー：「馬鹿！！取引が無くなるかもしれんぞ！！」

私：「それは残念ですね。でも、ビーイングで３人しか応募がないと言ってましたよ。

　　　それじゃあ取引無くなっても仕方ないでしょう？」

池袋リーダー：「なにー！！　それとこれとは別問題だろうが！！　

　　　　　　　　　　もういい、お前じゃ話にならん。

　　　　　　　　　　マネージャー出せ！！　誰だ？　マネージャーは？」

私：「Ｕさんです。」

池袋リーダー：「Ｕさんか？Ｕさんも大変だな。

　　　　　　　　　　馬鹿新人が配属されて。早く代われ！！」

Ｕさん：「ふんふん、ふーん。あー、はっは。

　　　　　ごめんごめん、悪いねー、はい、はーい。」

私：「Ｕさん、申し訳ございません。」

Ｕさん：「社長は話好きだからな。

　　　　　いろいろな社長がいるからおもしろいだろう？　

　　　　　これからも、どんどん社長に電話しろ。」

私：「？？？・・・・・。」

Ｕさん：「武谷（たけや）、今日の夜はちょっと行くか？」

私：「はい。よろしくお願いします。」

仏のＵマネージャーには感謝しかない。

「そのときの出逢いが人生を根底から変えることがある　よき出逢いを」　　　みつを

合掌。

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武谷広人: 人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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