「ゴルフ接待での暴挙(クライアントの社長を怒らせる)」
1990年、中央支社(神田)での新規開拓が始まりました。
メンバーの中でリーダー的な役割を果たしてくれたのは、当時まだ新人だったT君です。
その後、30歳で独立し自分の会社を上場させましたが、当時はまさに新規開拓マシーンでした。
彼が数多く開拓した新規企業の中で、「○○ハウス」様 という会社がありました。
T君が大変お世話になっているので、
「是非、社長をゴルフにお誘いしよう!!」
という話になりました。
そのときの支社長は、ホラ吹き支社長のMさんです。
初代支社長の天才営業マネージャーNさん と人事異動で交代しました。
ホラ吹き支社長のMさんは中途採用で、あるIT企業の人事責任者をやっていて、
縁あって転職して来た人です。
この人は話題が豊富で明るくて大変おもしろい人ですが、
話がどこからどこまで本当なのかわからない、
よく居場所がわからなくなる、金遣いが荒いなど、困ったところがありました。
数年後、クビになりましたが、真面目に働けば良い人だったので残念です。
ゴルフ接待は、このM支社長と私が行く事になりました。
T君はゴルフができなかったからです。
M支社長はゴルフもシングルの腕前、口もうまいので接待にはもってこいです。
場所は茨城の有名なゴルフコース。
雪がちらつく厳しいコンディション。
先方は社長と管理部長がお越しになりました。
M支社長は、相手の腕前を見ながら自分のスコア調整もできます。
相手をとてもいい気分にさせます。
昼飯どきも、寒いので日本酒の熱燗をがんがん勧めて飲ませていました。
午後は、社長も管理部長も酔っ払ってフラフラになりながらラウンドしていました。
そこで、私の悪いクセが出ました。
社長のスイングがあまりに小さくてかわいかったので、
私:「社長、こてっちゃん みたいですねー!!」
と、言ってしまいました。
それに同調したM支社長も、社長がスイングするたびに、
M支社長:「よっ!!こてっちゃん!!」
と言うようになり、ただでさえゴルフに自信が無い社長は、だんだん機嫌が悪くなってきました。
更に私が火に油を注ぎました 。
私:「だいたい世の中の社長といわれる人種は強欲で、ろくな人間がいませんね。」
と、わかったふうの暴言を吐いてしまいました。
しかし、ゴルフが終わってお風呂に入り軽くビールを飲んだところで
社長のご機嫌も良くなってきました。
「ああ、よかった」 と思いながら、社長と管理部長が乗った金ぶちの大きなベンツを見送りました。
私:「うん、やっぱり強欲な人間だ。」
M支社長:「へー、あんな派手なベンツ、かたぎは乗らないな。」
という感じで、我々もそれぞれの車で帰宅することにしました。
私は土曜日で早く帰りたかったので、常磐自動車道を180キロでぶっ飛ばしました。
その途中で、金ぶちの大きなベンツを笑いながら抜き去ってしまいました。
私の車のあまりの猛スピードに、社長も管理部長も驚いていました。
翌週、社長からT君に連絡があり、
社長:「T君、武谷(たけや)という課長はとんでもない奴だな!!
失礼なことは言うし、猛スピードで客を追い抜くし
めちゃくちゃな奴だ!!
経営者の痛みもわかっていない!!
もうあいつは二度と連れて来なくていい!!」
ということで、ゴルフ接待は全く逆効果でした。
社長、管理部長、そしてT君、何卒ご容赦ください。
「にんげんだもの」 みつを
合掌。