売上(粗利益)3000万円で年収500万円未満?
社長とコンサルタント1名の会社で、毎日深夜の1時・2時まで仕事をして、
3000万円以上の売上を上げているのに年収が500万円未満というAさんが相談に来た。
広告費やオフィス賃料など合計しても月30万円程度のコストに抑えており年換算360万円。
そして、ご本人の給与と社会保険、交通費など合計しても、せいぜい650万円程度。
要するに、経費は合算しても1000万円程度なので、
余った2000万円以上のお金はどこに行ってるのか?
私:「Aさん、明らかに社長の懐に入ってますね。
社長が貯金してなきゃ何か道楽に使ってますよ。
かわいそうに月300時間働いて、一人で3000万円以上稼いで年収500万円未満とは。」
Aさん:「普通はどれぐらいの給料をいただけるものですか?」
私:「普通なら800~1000万円の年収とれますよ。」
Aさん:「えー、お金が足りない時は、貯金をくずしてたんですけど。」
私:「そうですか、ひどいな。じゃあこれからどうしますか?」
Aさん:「いつかは独立したいという夢はあるんですが、すぐには無理だと思うので、
ちゃんとした紹介会社に転職できたらいいなと思っています。」
私:「悲しい話ですが、この業界、なかなかちゃんとした会社が少なくて、
私も契約書は交わしても実際に人を紹介していない会社の方が多いんですよ。
変な会社を紹介して、すぐに辞められるのは誰のためにもならないですからね。
人材紹介会社なのに安心して紹介できる会社が少ないというのが、
私の一番の悩みですし、安心して紹介できる会社を増やすのが私のライフワークです。」
Aさん:「それでも、今の環境よりはいいかなと思うんです。
これまで一人で我流で仕事をしてきましたから、他の紹介会社に転職すると
新たな発見とか参考になる事がたくさんあるんじゃないかと思うんです。」
私:「そんな大した事ないかもしれませんよ。」
Aさん:「それでも他の会社を知らずに進むより、知ってから進む方がいいと思うんです。」
私:「わかります。
しかし、独立したいなら、すぐにでもできますよ。
クライアントともキャンディデートともリレーションがあるし、
いきなり3000万円は難しくても2000万円売れたら、一人で十分にやっていけますよ。」
Aさん:「うーん、今はそこまでの決心はできません。」
私:「他の人材紹介会社に転職すると、今のお客様とのリレーションが無くなるかもしれませんよ。
リセットする覚悟はあるんですか?」
Aさん:「いや、リセットはしたくないです。」
私:「でも半分ぐらいのお客様は手放す覚悟は必要ですよ。
その代わり新たに出会うお客様も増えると思いますが、どうしますか?」
Aさん:「いろいろ質問してもいいですか? 他の紹介会社の事、ほとんど知らないので。」
私:「もちろん、何でも聞いてください。」
この後、面談は深夜11時半まで及びました。
Aさん:「今日は遅くまで長時間、ありがとうございました。」
私:「こちらこそ、大変お忙しい中お越しいただき、ありがとうございました。
じっくり考えていただき、またご質問があればお気軽にお問い合わせください。」
ほとんどの場合、応募されるか、されないか、その場では確認を取らないようにしている。
ご本人に時間をかけて検討していただき、その返事を待つ。
返事が無い場合はそれまでのご縁だと思っている。
昔、リクルートにいた時は、その場で何社も応募承諾を取ったが、今はなぜかそうしない。
今の方が今の自分らしいやり方だと思っている。
若いコンサルタントと同じようにガツガツでは、自分の存在価値が無い。
果たしてその後、Aさんから連絡はあったでしょうか?
数週間後に連絡がありました。
Aさん:「社長とも率直に話をして、しばらく今の会社に留まって頑張ることにしました。」
転職しないのも立派な決断です。
「いまから ここから」 みつを
合掌。