「地獄の金曜日(その3)この東京のどこかに・・・。」
先週も書きましたが、毎週金曜日のその週の締めの営業会議を18時からやっていました。
目的は二つです。
1 営業数字の詰め
2 成功事例の共有 「今週の新規受注、○○君は偉い!!」 と言うコーナーです。
今日は、上記2の「成功事例の共有」の話を書きます。
当時、通称クマちゃんと言う営業マンが居ました。
オオクマ君なので、クマちゃんです。
イケメンで、いつもニコニコ、でも口下手な人でした。
早稲田卒なのにエリートぶらず、みんなに親しまれていました。
クマちゃんは、入社後OJTで何人かの先輩と同行し思ったそうです。
クマちゃん:「俺は口下手だから、先輩たちのような上手な営業はできない。
だから俺は、先輩たちの2倍・3倍の社数を訪問するしかない!!」
誰でも初めはそう思うのですが、人と違うのはクマちゃんの実行力でした。
すぐに取り出せるように名刺ホルダーを腰に着けて、千代田区・港区・中央区を中心に
都心部をしらみつぶしに回り始めました。
200枚の名刺が二日で無くなるので、営業アシスタントは毎日のように名刺の印刷を
発注しなければ追いつきません。
そして、1ヶ月経ち、2ヶ月経ち、3ヶ月経ちましたが、クマちゃんはなかなか初受注できず
苦しんでいました。
その間、ばらまいた名刺は、6000枚以上!!
それを見ていた我々は、自分の事は棚に上げて心配しはじめました。
「やっぱり社数を数多く回るだけじゃ無理なんじゃない?
もう少し営業ターゲットを絞って、業界なり地域なり何か決めた方がいいんじゃない?」
などと偉そうに言って 「非効率な営業をしているなー。」 と思っていました。
クマちゃんは焦り始めていましたが、周囲が何を言っても自分のやり方を変えません。
しかし、このまま売上ゼロの状態が続けば、クビになる可能性があります。
ギリギリの状態です。
そんなある日、営業で外出していたクマちゃんから、初受注を報告する電話が入りました!!
喜びに震える声で、
クマちゃん:「A社で、ビーイング、モノクロ1ページ、正価で受注しました!!」
営業アシスタント:「クマちゃんが、初受注です!!
A社様でビーイング(現リクナビネクスト)モノクロ1ページ正価です!!」
その吉報に全員が驚き盛り上がりました。
我々:「ついにクマちゃんがやった!! 良かったね。」
しかし我々は、クマちゃんがたまたま飛び込んだ会社に求人ニーズがあっただけだ。
ラッキーで受注できただけで、その後は続かないと思っていました。
ところがその後、クマちゃんは、A社の受注を皮切りに、以前訪問した会社から
次々に問い合わせが入り、短期間で数百万円の売上をあげました。
更に連続受注が自信となり、営業トークも上達してきました。
これには、みんなも脱帽です。
実力も無いくせに、「もっと効率的な営業をやれ。」などと、
クマちゃんに偉そうに言っていた自分がバカだと思いました。
多くの営業マンは、つまらない理屈をつけて最大限行動することを忘れる。
行動を起こさず格好つける。
ベテラン営業マンなら効率的な営業活動も可能だが、若手駆け出し営業マンは、
量稽古が第一!!
量を増やせば質も高まり、質・量を伴ってはじめて成果が生まれる。
格好悪いかもしれないが、我々のような凡人は量稽古しかない!!
いや格好悪くない!!
金曜日の営業会議の成功事例の発表で、クマちゃんは言いました。
クマちゃん:「僕の場合、受注の秘訣は特にありません。」
鬼マネージャー :「そんな謙遜しないで、クマちゃん、ちゃんと自慢してよ。」
クマちゃん:「はい。僕はただ、この東京どこかに自分を待ってくれている
会社があると信じて毎日歩いていました。」
みんな、感動して涙ぐみ黙ってしまいました。
クマちゃんは、最高に格好いい!!
「批判はしたけれど 自分にできるだろうか」 みつを
合掌。