地獄の金曜日(その2) 正直者に福来る
昨日に続き、「地獄の金曜日」と言う題名ですが、今日は明るい方の話を書きます。
金曜日の18時からの営業会議では、「厳しい数字の詰め」と同時に、
「成功事例の共有」もやってました。
今日は、その成功事例の一つに関して書きます。
当時、一緒に仕事をしたメンバーに、M君とE君(新人)が居ました。
ある日、この二人が営業同行した時の話です。
二人がある会社に飛び込んで、A社の社長 に会うことができました。
そこで、求人ニーズがあることがわかり、ビーイング(現リクナビネクスト)をプレゼンしました。
M君:「社長、是非、モノクロ1ページで掲載しましょう!!
大きなスペースがあれば、御社の魅力を存分に読者に伝えることができます!!
私の経験から予測すると、少なくとも2~3名は採用できるはずです!!」
社長 :「うーん。でも、なかなか高いね。他の会社はちゃんと応募があるのかね?」
M君:「わかりました。では、明日にでも同業他社さんの事例をお持ちします。
御社の同業他社さんに、何人の応募者があり、何人採用できたか?
その辺の具体的な資料をお持ちします!!」
と言って、その日は新規受注の期待に興奮して帰社しました。
さあ、帰社後は社長に約束した実際の事例(資料)探しです。
A社の同業他社の社名は、社長 から伺ってあります。
仮に、B社、C社、D社、E社、としましょう。
この社名をリクルートのPC端末に入力すると、過去の掲載実績、担当営業所、
担当営業マン名などが出てきます。
そして、実際の応募者数、採用数などは、その担当営業マンに直接電話して教えてもらうのです。
たまに、せこい奴で教えてくれない営業マンもいましたが、教えてくれる営業マンの方が
多かったと思います。
M君、E君が手分けして、B社、C社、D社、E社の事例を調べました。
その結果、ガーン!!
・B社:応募10名、採用1名
・C社:応募5名、採用0名
・D社:応募7名、採用1名
・E社:応募3名、採用0名
M君:「E君、これじゃあ社長と約束した最低2~3名の採用ができている会社が1社もないね。
いやー困った~。」
E君:「これじゃあ明日の受注は難しそうですね~。」
M君:「いや、俺は絶対に受注するぞ!! この際、手段は選ばない。」
E君:「手段は選ばないって、どうするんですか? 」
M君:「事例の応募数と採用数なんか、ウソをついてもわからないよ。
こっちで勝手に変えちゃおうぜ!!」
E君:「大丈夫なんですか? そんな事して後からばれたらどうするんですか?」
M君:「強気、強気!! その時はその時だよ。」
こんな感じで、翌日、M君とE君は、ウソ事例を持って、A社の社長 に会いに行きました。
M君:「社長、この資料をご覧ください。
同業他社さんでも、このような採用実績があります!!」
(ウソ事例)
・B社:応募15名、採用3名
・C社:応募8名、採用2名
・D社:応募10名、採用2名
・E社:応募6名、採用2名
社長 :「ほーなるほど。さすがに高いだけあるね。
そうか、他の会社はお宅の求人広告で人を採用しているのか?
それならうちも、もっと早くやればよかったな。」
M君:「はい。是非、やりましょう!!」
社長 :「わかった。それじゃあ、今回は試しに1回やってみよう!!」
M君・E君:「ありがとうございます!!」
と、ウソ事例が社長のハートを掴み、とんとん拍子に新規受注できたのです。
M君、E君も受注直後は大喜びしました。
しかし、時間の経過と共に何か後味が悪くなり、後悔の念がつのってきたのです。
E君:「Mさん、ウソついて受注してお金もらっていいんでしょうか?」
M君:「俺も何となく気分が悪いよ。」
E君:「どうします~?」
M君:「よし、もういい!! 戻って本当の事を言って社長に謝ろう!!
ウソついて受注しても気分が悪いだけだ。」
E君:「そうしましょう!!」
二人は受注した当日の夕方、A社の社長 を再度訪ねて、本当の事例をご覧いただき、
陳謝しました。
M君:「社長、私は受注したいばかりに、社長に大変なウソをつきました。
今朝、お持ちした事例の数字は改ざんしたものです。
本当の事例はこの数字です。
誠に申し訳ございません!!」
*しばらくの沈黙。
社長 :「そうか、わかった。君たち、よく本当の事を言いに来たな。」
M君・E君: きょとん・・・・・?
社長 :「ウソをついた事は悪いが、本当の事を言いに来るのは、なかなかできない事だ。
いいじゃないか、他社の事例がどうでも。
うちは君たちに立派な広告を作ってもらって、良い人を採用すればいい。
予定通り仕事を進めてくれ。」
M君・E君: 驚きと同時に思わず 涙!!
「社長、今日の事は一生忘れません。必ず良い仕事をします!!」
と、寛大な社長 によって意外な展開になり、予定通り求人広告は掲載されました。
そして、1名ですが素晴らしい人材が採用でき、社長 もご満足され、
その後もリピートオーダーをいただけるようになりました。
金曜日の夜は、このような成功事例を毎週一人ずつ発表し、仕事に対するスタンスや
ノウハウを共有しお互いを鼓舞し合っておりました。
それにしても寛大な社長さんですね。
「おかげさん」 みつを
合掌。