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社長ブログ 人材コンサルタント25年史

地獄の金曜日(その1)

「地獄の金曜日(その1)」
 
普通、金曜日と言うと明日から休みで嬉しいな、という感じでウキウキしますよね。
 
ところが、私が新人時代は、1週間の締めの営業会議を金曜日の18時からやっていました。
 
もちろん、月曜や火曜日にも毎週の営業会議はありましたが、金曜日の夜にもやるんですよ。
 
こんな事をやるのは、もちろん、鬼マネージャーのSさん です。
 
私たちは、 「ビーイング」や「とらばーゆ」、「FromA」などの週刊の求人媒体も売っていましたので
 
毎週の週目標(受注目標)というのがあったんですよ。
 
例えば、新人なら週目標100万円で月間目標400万円とか。
 
これがリーダークラスになると、週目標500万円で月間目標2000万円とかになるわけです。
 
こんな高い目標、どうやって達成します?
 
金曜日の締めの営業会議の目的は二つでした。
 
1 週目標達成者を誉めたたえる。一方で、達成できなかった奴をボロクソに詰める。
 
2 成功事例の共有
 
今日は、上記1の恐ろしい方の話を書きます。
 
当時、このグループには15人程度の営業マン&営業ウーマンが居ました。
 
その内、正社員はわずか5人程度でした。
 
正社員は、次長のIさん、鬼マネージャー 、私、後輩の新人2人で合計5人。
 
じゃあ、他の10人は何か?
 
できるツワモノ営業マンは、GA(月給制アルバイターの略)になります。これが3人。
 
GAは正社員に昇格する可能性のある予備軍であり、営業力は私のような軟弱な社員を
はるかにしのぐ事実上のリーダー格です。
 
他の営業マンは、A職(日給月給アルバイト)です。これが7人です。
 
A職の営業マンの実力もなかなかで、全員頭もフットワークも良いので、
我々駆け出し正社員の良きライバルです。
 
鬼マネージャーのSさん は、このアルバイトの営業マンの採用にも妥協を許さず、
 
A職一人採用するために200万円以上かけていました。
 
取締役営業部長のMさんから、
 
Mさん:「S、お前、アルバイトの採用にお金をかけ過ぎだ!!」
 
とか怒られていましたが、
 
Sさん:「何言ってるんですか!! 
     売れないとわかっている人間を採用したら、
     お互いに不幸じゃないですか!! 
     採用で商売している会社が採用で金をけちってどうするんですか!!」
 
という具合で全く聞き入れず、どんどん求人広告で応募者を集めて、
 
社員以上の能力を持ったA職(アルバイト営業マン)を採用するんです。
 
*当時、アルバイトでも高給で、平均的な会社の営業マン以上に稼げたので、
 良い人材が採用できたのです。
 
できるA職(アルバイト営業マン)の存在は、我々正社員営業マンとしては大変プレッシャーでした。
 
鬼マネージャーのSさん は、
 
Sさん:「お前らアルバイトより売れなかったら正社員の資格は無い。
     そんな能力が無い奴は早く辞めろ!! 
     給料泥棒!!」
 
というのが口癖です。
 
特に入社2年目ながら正社員の営業マンとしては最年長だった私は、たまったもんじゃありません。
 
実際に金曜日の締めの営業会議で、厳しく詰められるターゲットになるのは私です。
 
ボードに営業マンの名前を、大きな売上目標を持っている実力者から順番に書いていきます。
 
そして、上位者から順番に今週の目標と目標達成率を発表します。
 
Sさん:「じゃあ、最初にM君(GAの親玉)、今週はどうだった?」
 
Mさん:「週目標500万円に対して、実績600万円で達成率120%です。」
 
*パチパチパチと全員が拍手。
 
Sさん:「さすが安定してるね。今月の見込みは?」
 
Mさん:「T社で大型受注のヨミがあって、今日、先方でも内々で決済がおりたみたいですから、
     問題ないでしょう。」
 
Sさん:「OK。さすがだよな。M君の営業はきめ細かいからね。お客さんを掴んだら放さないからね。
     みんな、M君に極意を教えてもらった方がいいよ。」
 
Sさん:「じゃあ次、栢野(かやの)は?」
 
栢野(かやの)さん:「えー、目標400万円に対して、実績500万円。達成率125%」
 
*パチパチパチと全員が拍手。
 
Sさん:「さすが!! いつも渋いね。ちゃんと帳尻合わせるね。何か秘訣あるの?」
 
栢野(かやの)さん:「いやー特に無いですね。普通に営業しているだけです。」
 
Sさん:「さすが!! いつも高倉健みたいに何も語らず渋いね。
     みんな、栢野(かやの)は聞いても言わないから、営業同行させてもらって極意を
     盗むしかないぞ。」
 
こんな感じでツワモノ営業マンの景気の良い話が続き、いよいよ私に回って来ます。
 
Sさん:「それじゃあ、次は武谷(たけや)だな?」
 
私:「はい。目標250万円に対して実績150万円。達成率60%です~。」
 
Sさん:「お前さ、毎週毎週困るんだよね!! 
    お前、俺の給料下げる気か!!
    お前がショートした100万円どうするんだよ?
    M君や栢野(かやの)にカバーしてもらうのか?
    お前、正社員のくせにそれで平気なのかよ!!」
 
私:「いや、平気じゃないです~。」
 
Sさん:「今月の見込みは?」
 
私:「C社にプレゼンした企画が通れば、最終週に取り戻せます。」
 
Sさん:「通れば? もうそんなタラレバの話は聞き飽きたぜ!!
     お前、M君や栢野(かやの)から、ちゃんと極意を盗んで行動を変えているのか?」
 
私:「変えているつもりです~。」
 
Sさん:「本当に変えていたら結果も変わるはずだ!!本気で変わる気が無いなら辞めろ!!」
 
まあ、毎週金曜日の夜にこんな会議です。
 
悔しいやら、悲しいやら、本当に腹が立つ。
 
しかし、売れないのは自分の力不足だから、自分が成長するしかありません。
 
1週間働いた金曜日の夜が、こんな最悪なカタチで終わるわけですから、
 
当然この会議の後はヤケ酒です。
 
ただ、今考えれば、この悔しさがその後の原動力になったのかもしれません。
 
「途中にいるから中ぶらりん 底まで落ちて地に足が着けば ほんとうに落ち着く」  みつを
 
合掌。

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プロフィール


武谷 広人
人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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