「いちずに一本道」
先週金曜日の夜9時過ぎに電話が鳴った。
3月16日に入社されたばかりのAさんからだった。
Aさん:「武谷(たけや)さん、夜分遅く済みません。
おかげさまで、何とか初成約できました。」
私:「おー、早いですね!!
おめでとうございます。」
Aさん:「いやー、私の力ではありません。
上司のYさんはじめ、他の社員の皆さんに協力いただいたおかげです。
本当に良い会社をご紹介いただき、ありがとうござました。」
私:「プロセスはともかく初成約、おめでとうございます。
2件目が決まって両目が明いたら、奥さんと一緒に食事に行きましょう。」
この電話と時を同じくして、上司のYさんから、「A君が初成約しました!!」
とのメールをいただいた。
熱い会社だな。
やっぱり、Aさんは自分の気持ちを曲げないで、このクライアントに転職して良かった。
前職も人材紹介会社だったが、業績悪化で希望退職の募集を行い、それに応募した。
Aさんは、今回転職する際に、これまで通り人材紹介会社に転職するか?
異業界に転職するか?悩んでいた。
奥さんからも、「貴方みたいなお人よしが、厳しい人材紹介業でやっていけるの?」
と反対されていた。
しかし、最終的にAさんは奥さんを説得して、今の会社に入社した。
「反対を押し切って入社したからには絶対に良い結果を出す!!」 という覚悟だった。
私も、「男ならリスクがあっても好きな仕事をしなければ意味が無い。Aさんであれば、
必ず結果は出せる。」 と強く押しただけに責任があると思っていた。
そのような経緯があったので、金曜日の電話は大変嬉しかった。
そんな事があり、ふと昔の事を思い出した。
リクルート人材センター(現:リクルートエージェント)が、バブル崩壊後、3年連続赤字になり、
従業員が三分の一になった時のことだ。
当時の社長の岡﨑さんと、会社に残存したマネージャー連中で飲みに行った。
やっと赤字という長いトンネルから這い出るタイミングだった。
みんなで話しているうちに、30代半ばだったマネージャーのX君が言った。
X君:「いやー、これから先もこの業界でずっとやっていくのか、他の業界で生きる道はないか、
正直言うと考えちゃいますよね。」
岡﨑さん:「このアホ、お前は今まで他の仕事をやったことがあるのか?」
X君:「いいえ、ずっとこの仕事しかやってません。」
岡﨑さん:「10年以上もこの仕事をやってきたのに、いい加減に腹をくくらんか!!
やっとこれからという時に何を学生みたいな事を言っとるんだ?
これからが本当のお前らの時代だぞ。
お前らが腹をくくって、先頭に立って道をつくって、畑を耕やさにゃ誰がやる?
これからこの会社がどんどん良くなるという時に、そんなしょぼくれたおっさん
みたいな事を言うな。
これからがチャンスなんだよ。」
うーん、特に客観的根拠のある話じゃないけど、妙に腹落ちする話だな、と思った。
リーダーシップと言うやつですかね?
その後、本当に岡﨑さんが言った通りになるのだけど。
Aさん、この仕事をやめなくて良かったですね。
「いちずに一本道 いちずに一ツ事」 みつを
合掌。