「バカヤローワンマン社長と良いワンマン社長」
昨日、新規クライアントで面接同席をした。
どうしてもご紹介したいキャンディデート:Aさんがいたので、電話で売り込んでアポを取った。
というわけで、初回訪問でいきなり面接同席となった。
面接官の部長から転職理由に関する質問が出た。
Aさんは理由を答えた。
Aさん:「社長が全く関係ない事業会社に投資しまして、それが失敗したので、
私たちの会社の給料を下げられたのです。
私たちの会社は過去最高益を上げたのに、年収が半分になった人もいました。
長い間我慢してきましたが、これだけは許せないと思いました。」
部長:「社長さんから、給料を下げる理由に関する説明はあったんですか?」
Aさん:「いいえ、全くありませんでした。
いきなり集められて、『今日から給料を変えるから、嫌な奴は辞めても構わない。
お前たちの代わりはいくらでもいる。いたい人間だけ残ればいい。』 と言われました。」
部長:「えー、説明もないなんてひどい話だな。
誰か社長に意見できる人はいなかったの?」
Aさん:「はい。いませんでした。
役職者も含めて、『お前の代わりはいくらでもいる。』 と言われるので、
家庭を持っていらっしゃる人には言えないと思います。」
部長:「いやいやひどいね。
そんな社長じゃ辞めても仕方ないな。」
Aさん:「はい。もっと我慢すべきかと思ったのですが、他の言動も含めて限界でした。」
部長:「そんな会社によく7年間もいたね。
うちの会社の社長も超ワンマンだけどね、そんな人間じゃないよ。
最後は何でも社長が決めるという意味ではワンマンだし、時には常識はずれだと
思うような事も通しちゃったりね。
社長を説得するのは、相当うまく粘り強くやらないと大変だよ。
でも、それだけ仕事に対するこだわりがあるわけよ。
そんな社長のパワーがあったから、短期間でここまで大きくなったんだよ。」
Aさん:「なるほど、そうでしょうね。」
部長:「うちの社長も短気だからさ、『お前なんか辞めちゃえ!!』 とか言うこともあるよ。
でもさ、その場その時だけで、あとはコロっと忘れてるからね。
本気で辞めろなんて全く思ってないよ。」
Aさん:「そうですか?」
部長:「うん、今回の地震でもさ、『困ったら何でもいいから俺に言って来い。』って言うわけよ。
『トイレットペパーとか水が無い奴は俺が何とかしてやる。』 とかね。」
Aさん:「そんな事まで?」
部長:「うん、実際一人トイレットペーパーが無くなった社員がいたけど、ちゃんとあげたよ。
それから、遠距離通勤者と女性社員は、しばらく早く帰らせたよ。」
Aさん:「へー・・・・・。」
部長:「それからうちはね、子供の授業参観日、運動会、自分と奥さんの誕生日は休ませるの。
『うちは休みが多くないから、せめて社員の大切な日は休ませろ。』って。」
Aさん:「ヘー、素晴らしいですね。」
部長:「ワンマンだけど兄貴分なんだよね。社員は家族なんだよ。どう思う?」
Aさん:「はい。是非、御社で働かせていただきたいと思います。」
2時間にも渡る面接でのやり取りを聞いて、社長のキャラクターや社風がよくわかりました。
ワンマン社長と言う名のただのバカヤローと、正しいワンマン社長の話でした。
「ワンマン経営こそ本当である。」 一倉 定
*ワンマン経営とは、社長が全てのことに権力をふるって勝手なことをすることではなくて、
社長ただ一人が事業経営の全ての責任を負うことである。
ワンマン経営のないところ、真の経営などあり得ないのである。
「批判はしたけれど 自分にできるだろうか」 みつを
合掌。