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お宅はどんな「そばや」ですか?

お宅はどんな「そばや」ですか?
 
先日、 「探客力が勝負」 という話を書いたが、今日はちょっと角度を変えた話だ。
 
以前は、待ってりゃ求人は来る、登録者も来た。
 
それをマッチングすれば決まった旧き良き時代を忘れろ、というのは厳しいが、
 
いい加減にその思い出と決別しないと沈みゆくだけだ。
 
景気が戻っても駄目だ。
 
以前より競争が厳しいので、1社当りの分配が少なくなる。
 
1997年は全国で300事業所しかなかった同業者が、
2009年に20000事業所を越えて、見かけの競争は67倍となった。
 
ただ、事業撤退・廃業も相次ぎ、実際に真面目に人材紹介をやっているのは40%程度だろう。
 
従って、リアルな事業所数は8000事業所で、1997年対比で競争は約30倍だ。
それに対して、1997年の市場規模は450億円、ピークだった2007年の市場規模は
2600億円と約6倍程度。

更に2009年の市場規模は概ね50%減として1300億円、
2010年は少し回復して1700億円、1997年対比でわずか約4倍。
 
市場規模は4倍なのに、競争は30倍にもなっている。
 
この数字、マーケット感覚が鋭い人なら、何となく 「そんなもんだろう」 と思うでしょう。
 
昔と比べると簡単には決まらなくなった、おいしい仕事じゃなくなった、と思っているはず。
 
日本は発明は苦手だが、応用して発展させるのは得意だ。
 
ある程度の所までは、あっという間に欧米先進国に近づく。そこから先が問題だが。
 
日本は業務の効率化や標準化、工業化に長けている。
 
その際たるものが、大手人材派遣会社、並びに、大手人材紹介会社だ。
 
40年以上前に日本に人材派遣業を持ち込んだマンパワー・ジャパンは、
 
スタッフサービス、テンプスタッフ、パソナなど、後発の日本企業に抜き去られた。
 
アデコの前身は大半が旧キャリアスタッフなので、今は外資系だが実質的に日本企業だ。
 
しかし、今回の不況で日本企業の工業化技術の限界も露呈した。
 
単純な効率化や標準化では、顧客の欲求を満たせない。
 
昔から満たせていなかったが、それでも儲かるので放置したツケが回って来た。
 
顧客は、もっと多様な、もっと上質な、もっと個別のサービスを求めている。
 
派遣業や紹介業が目新しい時期は、量とスピードの勝負だった。
 
しかし、目新しさがなくなり、顧客の目が肥えた今は厳しい。
 
東京の「そばや」 を見てほしい。
 
金持ちが昼間から何千円も払って日本酒を飲みながら2時間ぐらいだらだら食っている
高級そばや、一方で貧乏暇なしサラリーマンが300円のそばを3分でかきこむ 
「小諸そば」 のような立ち食いそばや。
 
その中間ぐらいのそばや。
 
意外につぶれていない。
 
それぞれが自店のファンを持っている。
 
我々の業界もこのようになっていく。
 
先日、街中を歩きながら飲食業界の達人社長に聞いた。
 
私:「社長、歩きながら店を眺めただけで繁盛店か、流行らない店か、わかりますか?」
 
社長:「うん、わかりますよ。」
 
私:「ほー、まずは何がポイントですか?」
 
社長:「まずは外から見て何屋なのか? はっきりわかることが第一の条件です。
    何屋かわからない店に、初めての人は普通入りませんよね。」

私:「なるほどー、確かに。」

我々も、自分の会社がどんな「そばや」なのか? はっきりさせる時が来ていますね。

 
欲張って全ての顧客を取り込もうとすると、沈み行く大手外食チェーンのようになるでしょう。
 
「梅の木に梅の実 柿の木に柿の実 それでよいのです」   みつを
 
合掌。

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プロフィール


武谷 広人
人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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