「ITグループの再建」
1996年ごろ、常勝ITグループの業績にかげりが見え、メンバーが騒ぎ出しました。
大リストラを経験したメンバーなので、業績停滞には大変敏感です。
もう二度とあのような悲惨な経験はしたくないという気持ちを持っていました。
そんな中、たまたまITグループの末席にいた私に 「ITグループを再建せよ!!」 という
ミッションが与えられました。
私は通信業界専門でしたので、コンピュータのハードウェアやソフトウェアの世界は知りません。
知らなければメンバーに聞くのが一番間違いないと、ITグループのメンバーを集めて
今後どのように業績を再浮上させるか? というミーティングを行いました。
みんな、どんどん意見を出してくれました。
ホワイトボードに思いついた事をどんどん書き出します。
そこで、あるメンバー、現在リクルートエージェントの執行役員をやっているS君から、
一つのまとまった提案がありました。
S君:「人材が流れるように、営業体制も組み直すべきだと思います。
優秀な人材はそれぞれ志向は異なりますが、概ね次の順番で志望します。
①ITコンサル、または、外資系大手ベンダー、②ユーザー系SI、③メーカー系SI、④ソフトハウス
こんな感じです。
ですから、営業(RA)サイドもまずは、①を担当するグループと、②③④を担当するグループに
大きく分ける事から始めたら、CAサイドとの連携も取りやすくなり、業績があがるはずです。
また、ITコンサルや外資系大手ベンダーの担当に適したRAと、ソフトハウスを担当するRAとは
求められる知識やキャラクターも違うと思いますから、その辺も含めてメンバーの適正配置を
考えた方が良いと思います。」
こんな感じの事を言いながら、わかりやすい図を描いて説明してくれました。
みんな:「よし、じゃあその路線でやってみよう!!
その図をベースに現在の全てのIT求人をマトリックス表にして一覧できるようにしよう。
横軸を①②③などの業界、縦軸を、上流コンサル、開発、サポートなどの職種にした
マトリックスを作り、それを毎週メンテナンスしよう。
更に、そのマトリックス表を毎日ランチタイムに持ち寄って、みんなで弁当を食べながら、
会議室でその日の新規登録者全員をマッチングしよう!!
それをやれば、知識やスキルの個人差も少なくなるし、全員がITグループ全体を見渡し
機会損失を最小限に食い止められる。
その結果、決定率が上がり、業績も伸びるはずだ!!」
素晴らしいですね。
メンバー各人からどんどん前向きな提案が出て来て、私はそれを聞いていればいいだけです。
しかし、大切なのは運用です。
この日決めた事を改善しながら継続することです。
本当に毎日継続できるかです。
そして実際に毎日毎日バカみたいに全員集まって、その日の新規登録の方々お一人お一人の
キャリアやご希望に適合しそうな求人を徹底的に洗い出しました。
弁当を食べながら。
これによって、 「どれぐらいのキャリアの方だったら、どこの会社に合格できるか?」という
相場観的な知識・スキルが共有され、求人企業様、ご登録いただく方々双方に対する提案力も
向上し業績が大きく伸びました。
東京のITグループだけで、あっという間に売上15億円を越えました。
IT業界に無知だった私が一番勉強になったかもしません。
持つべきものは、モチベーションと能力が高いメンバーですね。
当時のメンバーの皆さん、ありがとうございました。
「毎日少しずつ それがなかなかできねんだなあ」 みつを
合掌。