「接待で泥酔。お客様をビンタして懲戒処分」
私、実はリクルートエイブリック(現リクルートエージェント)で公式に懲戒処分された
最多記録を持っております。
譴責処分1回、減俸処分が2回で、合計3回です。
素行が悪いので、もっと多くても不思議じゃないですが、会社が寛大だったので3回で済みました。
社内報に
「左記の者、以下の理由によって懲戒処分とする。」
というような記事が掲載されることがありますよね?
今日は、その中で譴責処分を受けた時の話を書かせていただきます。
1992年ぐらいです。
あるベンチャー企業の社長と部長、採用担当の方を接待させていただいた時の話です。
当時、私は新橋本社でキャリアアドバイザーをやっておりましたので、
なぜ我々が求人企業の接待に行かなければならなかったのか?今考えると疑問です。
とにかく当時、私の部下でキャリアアドバイザーのNYさん、それから、営業担当のN君と一緒に
接待に行きました。
そうです!! このNYさんが、この会社の採用担当の方をご紹介して決まったんです。
それで我々が接待に駆り出されたんです。
社長は派手でエネルギッシュな人です。
ヴェルサーチのスーツを着て、フロアー一杯に広がりしばらく消えないような強烈な香水の香りを
漂わせていらっしゃいました。
1軒目の店は、新橋本社近くの寿司屋でした。
話は盛り上がりました。
まずは、これまでの社長のお話をいろいろ伺いました。
社長:「いろいろな銀行の支店長と会うけれど、融通が利かないバカばかりで話にならん。」
社長:「若い時、むちゃをやって商売失敗した。」とか。
途中からは、こちらが話すことが多くなりました。
特に、NYさんの大学時代の応援団の話です。
NYさんが、在籍時代に同じ部の先輩よるリンチ事件が問題になり、
廃部になった応援団です。
このNYさんの応援団時代の話がめちゃくちゃでおもしろくて、場は大いに盛り上がり
酒が進みました。
気がついたら、熱燗のとっくりが30本以上ありました。
やばい!!
もう頭はクラクラです。
我々:「そろそろお開きにして帰りましょう!!
今日は本当にありがとうございました。」
社長:「いやー、今日は楽しい酒や!!
もう一杯行こうや!!
あと1軒付き合えや!!」
我々:「えー、社長、それは困ります。」
社長:「何ごちゃごちゃ言うてんねん!!」
タクシーで六本木や!!」
という感じで、お言葉に甘えて、六本木に行きました。
六本木で入った店ですが、
あんな凄い美人が多い店は初めて行きました。
多分全員モデルとか、その予備軍だと思います。
有名な店らしいです。
社長はその店の常連らしく慣れた感じで、くつろいでいらっしゃいました。
シートは大きく二つに分かれて座りました。
社長・人事担当の方・NYさんが固まって座り、部長・私・N君が近くに座ったと思います。
入店して30分ぐらい経過した時でしょうか?
私:「こりゃ、えらい店に来たな。
ここすげえ高いんじゃないの?
これじゃあ、どっちの接待かわからんな。
しかし、美人は多いけど、みんな愛想が悪くて居心地悪い店だな。」
N君:「武谷(たけや)さん、なんかNYさんが人事担当の方にからんでますよ!!」
私はN君が指をさす方向を見ました。
確かにNYさんが、何やら人事担当の方に怒って文句を言ってます。
NYさん:「おい、お前、社長に謝れ!!
うるせー、とにかく社長に謝れ!!」
人事担当の方は、NYさんの紹介でこの会社に入社された方ですので
ある意味、NYさんは兄貴分的な存在です。
NYさんは純粋で気の良いおもしろい人です。
ただ、本気で怒ると元応援団ですから相当怖いです。
N君:「武谷(たけや)さん、止めた方がいいんじゃないですか?」
私:「止めなくてもいいよ。
NYさんにとって、あの人事の方は自分が担当して決めた弟分みたいなもんだ。
兄貴分のつもりで怒ってるんだろう。」
と、私とN君が会話していると、先に相手の部長さんが止めに入ったんです。
部長:「まあまあNYさん、今日はそんなところで許してやってください。」
その直後、事件が起こりました。
NYさん:「うるせー!!」
と言って、止めに入った部長にいきなりビンタしたんです。
さすがにそこで、The End です。
みんな入り乱れてガヤガヤとなる中、社長が、「チェック!!」とおっしゃり店を出ました。
既に歩けないほど泥酔したNYさんは、両脇を部長と人事担当の方に抱えられ、
タクシーに押し込まれて帰宅しました。
そこで残った社長、部長、人事担当の方、私、N君で飲み直そうとなり、
別の静かなバーに入りました。
そこで、社長と私は並んで座ったと思います。
定かではありませんが、社長が私の胸ぐらを掴んで、こんな感じの事をおっしゃったと思います。
社長:「お前、上司ならなんでNYの事を体を張って止めんかったんか!!」
私は途中何を言ったか記憶が定かではありませんが、
私:「うるせー!!この安物の成金野郎!!」
というニュアンスの暴言を吐いてしまったと思います。
役割行動としては、社長がおっしゃる事が全く正しく反論のしようも無いところです。
反論のしようが無かったので、こんな暴言を吐いてしまったんですね。
大失態でした。
NYさんのビンタに油を注いでしまいました。
素直に土下座してお詫びするべきでした。
元々、成金趣味の社長の事を第一印象から嫌いだったわけですが、相手は大事なお客様。
リクルートとの何千万円もの取引があり、営業担当のN君も一生懸命フォローしている。
既に入社された方もいらっしゃる。
好き嫌い、若かったでは済ませれない失敗でした。
翌日は、あまりの二日酔いで珍しく起きる事もできず自宅で寝ていました。
前日の事もすぐに思い出せない。
会社から緊急連絡があり、とにかくお客様とリクルート本社からのクレームで大変な事に
なっているのですぐに出社しろとの事。
NYさんは酒豪ですが、私以上に記憶が無く、相手の部長をなぐったことも記憶に無い。
会社に着いたらすぐに事情聴取。
あやふやな記憶を思い出しながら、経緯をまとめたように思います。
社長の溝渕さんが、相手の社長に謝罪に行ったり、営業現場をはじめ、
大混乱させてしまいました。
私も、文章とお電話で社長に謝罪しました。
私:「先日は、誠に申し訳ございませんでした。」
社長:「もう忘れた!!
お前の会社はおおげさやのう!!
今後も良い人いたら、どんどん紹介してや!!」
こんな爽やかな言葉だったと思いますが、やはり、わだかまりは一掃できない印象を受けました。
この事件の結果、私とNYさんは懲戒処分の中では一番軽い譴責処分となりました。
事件の内容からすれば、もっと重い処分が妥当かと思いますが、そこは会社の寛大な措置でしょう。
ただ、今、この文章を書きながら思うのです。
「今の自分だったら、あの場でどうするだろう?」 と。
そもそも、あの時のように酒は飲めないので、もっと冷静でいられるとは思います。
そもそも、私とNYさんという最も酒飲みでやんちゃなコンビで接待なんかするもんじゃないですね。
あらためて、お客様をはじめ、ご迷惑をおかけした皆様、誠に申し分けございませんでした。
「いいことはおかげさま わるいことは身から出たさび」 みつを
合掌。