今日も鬼マネージャーSさん の事を書きます。
頭が切れて仕事もできますが、その分、悪い事もする人でした。
Sさんは、世田谷の自宅から毎朝、自転車に乗って新宿NSビルに通勤していました 。
世田谷のご自宅にも、お伺いした事がありますが、まさに豪邸です。
Sさん:「俺の家の周辺は日本のビバリーヒルズだぜ。」
*確かにユーミンの家の近く。
とか、おっしゃっていました。
ただ、そもそも自転車通勤は会社では認められていませんでした。
ご本人は、ジムに行ってエアロビやったり自転車に乗ったりして、体を鍛えるのが趣味でした。
身長も180センチ以上あり、格好良かったので、女性にもてていました。
Sさん:「俺の体は洋服を着るためにあるんだぜ。」
とか、時折モデルのようなことをおっしゃっていました。
我々がオフィスに着く頃には、先に自転車で到着し、スパッツ姿でトマトジュースを飲んでいました。
Sさん:「いやー、チャリンコで汗をかいた後の冷たいトマトジュースがたまんねーな。」
とか、朝からご満悦でした。
問題は、自転車の置き場所です。
オフィスの中に、自転車を二つか三つに分解して置いていました。
それも、我々のデスクのすぐ後でした。
あれでも一応隠していたつもりだったのでしょう。
1週間に一度ぐらい、本社の営業部長 兼 新宿支社長のHさんが巡回に来られるのです。
いつ来るかわからないので、見つからないように、一応自転車を分解しておいたのでしょう。
しかし、それは時間の問題で、ある日、自転車がH支社長の目に留まりました。
このH支社長 も怒らせたら大変怖い人です。
我々もよく怒鳴られていました。
H支社長:「おい、この自転車は誰のだ!!」
我々:「しーん・・・・・・。」
H支社長:「誰のだと聞いてるだろ!!」
Sさん:「あー、Hさん、どうも済みません。たまたま僕が置き忘れてしまって。」
*こんな時にも、めちゃくちゃ言い訳がうまい鬼マネージャーのSさん 。
H支社長:「何だ、Sのか? なんでこんな場所に置いてあるんだ!!」
Sさん:「どうも済みません。先週の土曜日に自転車でこの辺まで散歩に来た時に
疲れちゃって、そのまま置き忘れてしまって。」
H支社長:「なにー? どうでもいいから早く持って帰れ!! 事務所に自転車とは不謹慎だ!!」
Sさん:「いやいや、どうも済みません。早速今日持って帰ります。」
こんな感じで、H支社長を煙に巻きました。
*しかし、その後も全く自転車通勤はやめませんでした。
さて、Sさんは、どのように自転車をNSビルの25階に運んでいたか? 謎ですよね。
我々は、その現場をよく見かけていました。
Sさんは、自転車でNSビルに到着すると、裏口から入り、一般人が使用しない
業務用エレベーターで25階に運んでいました。
更にめちゃくちゃなのは、エレベーターが25階に着いたら、他のテナントさんの人も
歩いているNSビル内の共用通路を、自転車に乗ったまま我々のオフィスの入口まで来ていたんです 。
これって大丈夫なのかなー? と思って見ていました。
そうしたら、やはり数ヵ月後、巡回していたガードマンに現場を取り押さえられ、
「君は一体ここで何をしているんだ!!」
と、不審者扱いで捕獲されてしまいました。
その時も、いつものように、
Sさん:「いやー、済みません。決して怪しい者ではありません。
今日はたまたま怪我のリハビリで自転車に乗っていただけです。ごめんさい。」
とか何とか言って、一応厳重注意だけで済んだようです。
いやいや、いつも土壇場で恐ろしくうまい言い訳。
Sさん:「武谷(たけや)、お前も世の中の仕組みを知れば、俺のように、どんな窮地でも
生きられる。勉強、勉強。」
と、肩をたたかれていました。
*Sさん の名誉のために、補導歴はありますが犯罪歴はございません。
合掌。