サラリーマン時代を思い出すと、会議ほど退屈で嫌な時間はなかった。
それが無くなっただけでも、脱サラして良かったと心から思えるほど会議が大嫌いだ。
売上を上げるだけでも忙しいのに、みんなの時間を調整して、概して何が決まるわけでもない
目的不明確な 「情報や問題意識共有型」 の会議が多い。
特に日本企業はそうなのかな?
目的が明確で、事前に「次回は何を決めるから資料を読んで意見をまとめて来い」、
そして最後にはちゃんと議案について結論を出すという 「意思決定型」 の会議は少ない。
自分を思い出すと、まさにそうであり、バカな事をしたと思っている。
例えば、私が社長だった時、自分が議長であるにもかかわらず、漫然と定例会議を招集していた。
会議に臨む自分の目的意識が希薄だった。
また、部長だった時は、課長やメンバーが聞きたくもないような四半期ごとの振り返りや
新四半期の戦略とも言えないような事をだらだらと発表していた。
半分ぐらい寝ていた。
そこに100人集って2時間やったら、200時間の無駄だ。
200時間あれば、有能なメンバーなら2000万円程度の利益を生み出す。
大半の会議は、上司からメンバーに何かを伝えるために設定されている。
逆に、メンバーが上司や経営陣に何かを伝えたり議案を提出するタイプの会議は非常に少ない。
今はやっているか知らないが、リクルートの「RING(リング)」や「経営への提言」は、社員有志が自分の
仕事の時間外に集って新たな事業や改革提案をまとめ、予選・本戦と勝ち抜いて表彰される。
提案者本人が、新規事業や改革の立ち上げ責任者としてアサインされる。
実際にほとんどの新規事業がここから生まれ、失敗したものもあるが、成功したものも数多く
それが過去のリクルートを支えてきたパワーだ。
逆に、顧客から遠い役員が発案した新規事業は皆無と言っても良い。
お客様⇒現場の社員やマネージャー⇒事業部長⇒役員会 という通常の会議とは正反対の流れだ。
昔、リクルートのHR事業に関わる幹部社員のミーティングに参加していた時、おもしろい光景を見た。
当時、リクルートがある大手シンクタンクに海外の人材ビジネスのマーケットリサーチを依頼していた。
シンクタンクの責任者がプレゼン終盤に差し掛かり、リサーチ結果を発表した後に、
「今後のリクルートグループは、このような組織で、このように事業に取り組まれたら成功すると思います。」
と言った瞬間に、当時のリクルートの事業企画マネージャーが一喝、
「そんな事はこっちで考える話だ!! 真面目にきちんとしたリサーチだけやれ!!」
と言った。
このマネージャーは、経営コンサルティング会社出身で、大手シンクタンクのやや手抜き仕事の割に
高額なリサーチ料金に対して以前から頭に来ていたらしく、それが爆発したようだった。
経営コンサルティング会社からリクルートに転職し、採用メディアの営業でトップセールスになり、
事業企画マネージャーになった男。
普段は傲慢でもなく、男らしいいい奴だ。
相当不満がたまっていたんだろう。
あとは、自分の仕事に対する責任とかプライドかな?
でも、横で見ていた自分もスッキリした気分になった。
相手が誰であろうが、自分の仕事を全うするためにストレートに物申すサムライ魂。
多分、自分の上司にはもっと過激な事を言っていただろう。
それでいいんだ。
お客さんと直接やり取りしているのは俺だ!!
俺が一番お客さんの事をわかっているんだ!!
お客さんの喜びも要望も不満も。
競合他社との力関係も。
それだけが自分の仕事のプライドになる。
話が迷走したが、顧客不在の会議は意味が無い。
何人、何億円決めるためにどうするか? など、自社の論理で会議などしても意味はない。
結果として、そのようになるためには、顧客接点での変革が必要だ。
お客さんが、「これまでとは明らかに違うな。」 と実感してくれなければ売上も上がらない。
それを一番知っているのは、現場のメンバーやマネージャーだ。
その連中が、自ら発言したり提言したりしないで、何も変わるわけがない。
「会社が変わらない」 と言う前に、一つや二つ発言してみろ!!
「自分ならこうする」 と具体的に言ってみろ!!
人材紹介業は、斜陽産業でも成熟産業でもない。
まだまだ未成熟な産業だから自分で変えられる。
そんな意気込みのない人間は、この業界から早く出て行け!!
最近、成長産業だと思って入社したのにとか、もうこの業界は厳しいでしょうねとか、
やたらコンサバティブ系サラリーマンが、この業界に増殖していた。
経営責任もあるが、文句言う前に自分が変われ!!
その点、今日訪問した会社は凄い。
設立わずか数年、たった二人で300社に3000人以上をお世話している。
こんな現場を這いずり回っている人間が、この業界を変えていく。
痛快だ。
「自ら機会を創り出し 機会によって自らを変えよ」
合掌。
※弊社HP↓。