私は朝一番で、三匹のネコに餌をやる。
私の餌は、キャットトフードにマグロの缶詰をたくさんかけて、よくかきまぜてあげるので、
ネコに人気がある。
*家内の餌は、マグロをけちるので人気が無い。
最近は、夜明けが早いので、朝6時にはネコに起こされる。
*ボスネコは、真夜中の3時に、私と家内を起こし、 「ごはん!!」 と言ってねだる。
私は朝と夜、1日2回風呂に入る。
特に朝は低血圧ぎみなので、ちゃんと風呂に入らないとエンジンがかからない。
風呂からあがったら、ストレッチ、腕立て伏せ、腹筋などをやり体をほぐす。
それが終わると、毎朝掃除機をかける。 私はきれい好きで掃除が唯一の得意技なのだ。
この季節、ネコは猛烈に毛が抜ける。それが三匹もいるから大変だ。
その間、家内は他の家事をやってくれて、一緒に出勤するパターンが多い。
しかし、昨晩は床につくのが遅くなり、少々寝坊をしてしまった。
「まずい。今朝は面接同席だ!!」 ということで、ネコに餌をやり、急いで風呂に入り、他の事は
全部家内に任せて慌てて家を出た。
雨が降っていたが、傘をさすと走れないので、傘は持たずに濡れながら駅までダッシュ。
しかし、こんな日に限ってダイヤが乱れている。
「バカヤロー!!」 と叫んでも仕方ないが、とりあえず叫んでみたら、すぐに後続の電車が来た。
「ラッキー!!」 と言って飛び乗ったら、今度は前の電車がつかえていて、なかなか進まない。
「バカヤロー!! これじゃあ、意味が無いじゃないか!!」 と一人でブツブツ。
やっと乗り換え駅に到着。
エスカレーターの右側(追い越しレーン)をダッシュで駆け上げる。
さっき風呂に入ったばかりなのに、もう汗が噴き出してきた。
「バカヤロー!! 風呂に入った意味がないじゃないか!! しかも慌てて冬用の厚手のワイシャツを
着てきてしまった。バカヤロー!!」
やっとクライアントの駅に到着して、雨の中、最後のダッシュ。
面接の10分前に現地ビル1Fで、キャンディデートと待ち合わせだ。
急げ!! ギリギリだ。
おー、ジャスト10分前に到着。
思いっきりドアを開けて飛び込んだら、キャンディデートがいない!!
そう言えば、待ち合わせは5分前だった。
「バカヤロー!! だったら、こんなに急がなくても良かったじゃないか!!」
気を取り直して、キャンディデートがわかりやすいように、ビルの玄関前に立って待つ。
そうして待っていたら、ジャスト5分前に、キャンディデートが堂々たる雰囲気で現れた。
「バカヤロー!! 焦っているのは俺だけか!!」
いや、今日のキャンディデートは堂々たる体格だったので、ゆったりとしているように見えたのだ。
彼なりに一生懸命、遅れないように来たのだ。
さあ、面接前に最後のガイダンスだ。
ちょっと時間が少なかったが、理解力のあるキャンディデートで良かった。
応接に通され、少し待たされたが、その時間で多少は落ち着けたので良かった。
そして、いよいよ面接官登場。
毎年何百人も面接されているベテラン人事の方なので、いつものように明るく感じ良くテンポ良く
それでいて的を射た鋭い質問が次々に繰り出される。
言葉は柔らかく丁寧だが、なぜなぜ突っ込みをしっかり入れて来られるので、模擬面接などやっても
通用しない。だから、このクライアントにご紹介する場合は、模擬面接はやらない。
キャンディデートは、面接の間、ずっと顔の汗をミニタオルで拭いていた。
蒸し暑さと緊張が、そうさせたのだろう。
しかし、鋭い質問にも正直に誠実に自分の言葉で答えていたし、その中にキャンディデートの素晴らしい
人間性が滲み出ていた。
私も横で思わずうなづく場面が多々あった。
そして、何とか1時間強の面接が終わった。
終わった後にキャンディデートをお誘いして、一緒に昼飯を食った。
焼きサバ定食。生卵つき。
人間味豊かないい人だ。
個人的にもお付き合いしたいと思える人だ。
飾らない。正直。好奇心旺盛。良い趣味を持っている。人に好かれるだろう。
食事後、一緒に駅まで歩こうと外に出たら、なぜだかまた雨が激しく降りだした。
「バカヤロー!! 俺は傘を持ってないんだ!! ズボンの線が無くなったじゃないか!!」
雨に打たれて、やっと駅にたどりつき、そこでキャンディデートと別れた。
「お疲れ様でした。」 心の中で、 『人柄が滲み