昔、リクルート人材センター(現:リクルートエージェント)が経営危機に瀕した時、
「有りネタでしか勝負できない営業マンは駄目だ。辞めろ!!」
と言われた。
「有りネタ」と言うのは、既に公開されている求人や、自主的に登録してくる人材を指している。
そんな「有りネタ」同士をマッチングするのは、普通の能力があれば誰でもできるというわけだ。
この経営危機に瀕して、誰にでもできる仕事しかできない社員は不要だという意味である。
では、「有りネタ」ではないものは何か?
非公開・丸秘求人のような、クライアント、特に経営者との間に、深い関係構築がされていなければ
決して依頼されない求人だ。
部長・役員クラスなど自ずと高い職位の求人が多くを占める。
もう一つの「有りネタ」ではないものは何か?
転職市場に露出していない人材だ。
転職サイトに自分のキャリアを入力などしない、したとしても冷やかし、登録などしに来ない人たちだ。
このような露出していない求人と人材を結びつける事ができて、初めて人材紹介のプロと言える。
ところが実態はどうだ?
リクルートエージェントは、あまりにリソースが恵まれているのでちょっと例外としよう。
JACジャパン、マンパワー・ジャパン、メイツなど大中小の紹介会社を見て来たが、
多くの紹介会社では、コンサルタントが朝から晩までPCの前に座り込み、転職サイトばかり見ている。
4種類も5種類も使っていたら、それだけで一日が終わる。
それでも多くのコンサルタントは、
「もっと利用できる転職サイトを増やせ!! もっとスカウトメールの割り当て件数を増やせ!!」
などと平気で要求してくるのだ。
「君、それは自分にはコンサルタントとしての能力が無いですと言っているようなものだよ。」
と喉元まで出かけるのだが、気の弱い私にはそこまで言えない。
「転職サイトが悪い。転職サイトを無くせ!!」
などと言っているのではない。
時代の必然があってできたサービスで、一定の役割を果たしてきたし、私も一つ渋々利用している。
「転職サイト中毒」になるコンサルタントの方が問題で、意識的に行動パターンを変えなければいけないのだ。
自分を中心にして、そこから派生する人脈を意識的に拡大する動きをしなければいけないのだ。
例えば、知人会う、その知人の知人を紹介してもらう、経営者セミナーに行き名刺交換後訪問する、
その経営者から別の経営者を紹介してもらう、過去の登録者に優秀な知人を紹介してもらう、
内定者のリファレンスチェックで周辺の人材3人に会う。
このような動きを毎日続けると、転職市場に露出していない求人や人材に初めてリーチできるようになる。
もちろん、知人を紹介する価値がある人間だと思われなければ成立しない話なので、
まずは、自分自身が研鑽を積むしかない。
草食系=「転職サイト中毒」 から、肉食系=「高付加価値人脈づくりのスペシャリスト」 に
変貌しないといけないのだ。
結果として、限りなくサーチファームの世界に近づく事になる。
元々、紹介もサーチも垣根は無いと思っている。
「有りネタ」でしか勝負できないのか? 他でも勝負できるのか?
それだけの話だ。
時代は回り元に戻って、今、あらためて高い付加価値が求められている、ただそれだけだ。
転職サイト運営会社の方々、ごめんなさい。
貴方たちの批判ではないのです。
自戒を込めて、原点回帰しなければいけないと、喝を入れているのです。
「ともかく具体的に動いてみるんだね
具体的に動けば 具体的な答が出るから」 みつを
合掌。
※弊社HP↓。