土曜日に関西の会社で人事をされているAさんが上京されたので、一緒に昼飯を食べました。
私:「新卒採用の状況はどうですか?」
Aさん:「もうそろそろ終わりですね。」
私:「もう終わりですか?」
Aさん:「はい。当社は昨年の2倍は採用しますが、今年はいい学生が採れそうです。」
私:「それは良かったですね。
今年は大手が採用を減らしますから、いい学生を採るチャンスですよね?」
Aさん:「おかげさまで。
しかし、就職難と言っても、あくまで昨年に比べての話ですよ。
その辺がマスコミの報道のトーンと違いますね。」
私:「どういう事ですか?」
Aさん:「昨年の求人倍率が2.1倍、今年が1.6倍です。
確かに、この落ち方、0.5ポイントも落ちるのは過去最大の落ち幅です。
しかし、過去最悪の求人倍率だった1999年は0.9倍ですよ!!
それに比べたら、1.6倍でも天国ですよ。
昨年が高すぎたんです。」
私:「なるほど。1999年に比べたら、一人当たり2倍近い求人があるわけですからね。」
Aさん:「でもね、逆の事を言うようですが、1.6倍と言っても昨年のように無理して採用しませんよ。
今年の企業は妥協して採用しません。
だから、まだ内定していない学生は大変だと思います。
昨年の先輩のイメージで動いたら、全然駄目でしょう。」
私:「どうしたらいいんですか?」
Aさん:「早めに情報収集して動き出すのは当然ですが、その前に自己分析をしっかりやらないと
駄目です。
自問自答で『なぜ?なぜ?なぜ?』 と掘り下げてから面接に臨まないと、何十社応募しても
本末転倒です。」
私:「その点は中途採用も同じですね。」
Aさん:「しかし、最近思うのは、年々コミュニケーション能力と言うか、直接会って人と話す事が
苦手な学生が増えています。
嫌な事はメールで解決みたいな事を、子供の頃からやってきた学生がマジョリティーに
なっています。」
私:「へー、そうですか?
むしろ私は、自分の頃よりも賢い学生、就活上手な学生が増えていると思ってました。」
Aさん:「いやー、全然です。
就活のテクニックは見破れます。
それ以前の対人能力の問題です。
私は、それが最近の婚活にもつながっていると思っています。」
私:「へー、婚活にもつながっている?」
Aさん:「はい。
ごく普通の感じも悪くない人だけど、なぜか結婚できない人が増えていますよね?」
私:「それは何歳ぐらいですか?」
Aさん:「30代後半とかですね、全然変じゃないし、本人も独身主義じゃないのに結婚できてない人、
結構いますよ。
私は、この人たちもメール世代じゃないかと思っています。
考えている事を直接言葉で伝える、言葉で聞きだすことが苦手なのではないかと。」
私:「そうだとしたら大変ですね?」
Aさん:「はい。少子化の問題にもつながります。」
私:「だから、結婚情報サービスの会社とか流行るんですか?」
Aさん:「情報だけあっても駄目なんです。
そこで何人か紹介されても、直接コミュニケーションが苦手では結婚には至らないでしょう。」
私:「どうしたらいいんですか?」
Aさん:「情報収集の前に、コミュニケーション力を高める手助けができないかと考えています。」
私:「うーん、それができたら素晴らしいですね。」
Aさん:「そうですね。やりたいです。
でも、ビジネスにならなければ、私も生活できませんので、どうしようかと思っています。」
私:「いや、必ずビジネスになると思います。
それは大きなニーズがあると思います。
私など、模擬面接などやって時々無力感におそわれます。
どんなに面接の練習をしても、全く無駄に終わる人もいます。
私の力量不足ですが。」
Aさん:「学生も社会人も同じです。
自己分析ができていないと。
それを気づいても自分でできる人と、できない人がいます。
できない人は助けてあげたい。」
私:「そうですね。
それにしても、中途採用よりキャリアの無い新卒採用の方が難しいですよね?
中途採用は、過去のキャリアを丹念に聞き込めば、ある程度判断できると思いますが、
職務経験が無い新卒は素質だけで判断しなければいけない。」
Aさん:「確かにそうだと思いますが、本質は変わらないかと。
どんどん掘り下げて聞けば、自己分析できているかどうかはわかると思います。
私は、地味だけど将来良い仕事をするような素質を持った学生を見つけ出して
採用するのが大好きです。」
このような会話をして、あっという間に2時間半経ちました。
よく勉強されている人事の方のお話を聞くのは、大変勉強になります。
こちらも場数だけじゃなくて勉強しないと。
合掌。
※弊社HP↓。