ラーメンに関心が無い方もお読みください。
経営戦略の事例とも言えると思います。
下記一部、J-CASTニュースからの抜粋させていただきました。
博多ラーメンチェーン戦争 絶好調「一蘭(いちらん)」が「一風堂(いっぷうどう)」追い上げる
「ラーメン激戦区」の九州地区で、大手チェーン間の競争が激しくなっている。調査会社が「外食産業売上高ランキング」上位50社をまとめたところ、ラーメンチェーン3社がランクイン。なかでも「一蘭」の伸びが目立ち、首都圏で知名度が高い「一風堂」を激しく追い上げている。
■「既存店についても、お客様の数は右肩上がりです」
発表された上位50社のうち、ラーメン業界からは、「一風堂」を展開する力の源カンパニー(10位)、一蘭(19位)、筑豊ラーメンチェーン「山小屋」を展開するワイエスフード(21位)の3社がランクイン。いずれも、福岡県内に本拠地を置く会社だ。
特に上り調子なのが一蘭だ。同社の売上高は前年比11.9%増の46億円で、純利益は4億円。前年比で30.7%増だ。同社ではランキングの集計対象期間に3店舗を開業しており、それが売り上げに寄与したと見ている。企画広報部では、
「新規店舗を開業した分、売り上げは伸びています。既存店についても、お客様の数は右肩上がりです。原材料の値上がりなどで原価は上がっているのですが、お客様の伸びで、十分にカバーできています」
と自信を見せている。
■「一風堂」ニューヨーク店は、かなり好調
一方、首都圏で知名度が高い「一風堂」(力の源カンパニー)は追い上げられる形だ。売上高は67億円で、一蘭の1.5倍程度。ただ、前年比の増加率は6.5%で、一蘭の半分程度。純損益では、3億8000万円の赤字を計上してもいる。
同社では売り上げの伸びについては、一蘭同様に
「店舗展開を進めたため」
と話す一方、赤字計上の理由については、
「当初は、のれん代の償却を10年かけて行うことになっていたが、会計方針が変わり、これを5年で行うことになったため」
と説明している。
だが、ニューヨーク出店については、かなり好調な様子だ。08年3月の出店当初は、年間3億円の売り上げを目指していたのに対して、09年3月6日時点で4億5000万円を突破。来店者は20万人を超えたという。
このような記事です。
皆さん、「一風堂」と「一蘭」をご存知ですか?
ラーメン好きや比較的若い方、九州出身の方ならご存知でしょう。
共通点は、博多とんこつラーメンのチェーン店であり、多店舗展開を進めており、どこの店でも
ほぼ同じレベルの味とサービス、値段です。
「一風堂」はいち早く東京進出を果たし、TVチャンピオンでV2を果たすなど、
博多とんこつラーメンを一躍全国区にした立役者と言ってもよいでしょう。
どこの店舗も明るくほぼ同じ味、まずまず感じの良いサービス、数種類のトッピング自由です。
特色は、お客の好みに対応して、「赤丸」、「白丸」などメニューを選べること。
「まずまずおいしい博多ラーメンを気持ちよく食べたい。」と思ったら、最寄の「一風堂」でどうぞ。」
という感じの店です。
博多ラーメンを初めて食べる人も、安心して食べられる味だと思います。
社長の河原成美氏も経営者として有名で、書籍も数多く出版している。
http://www.ippudo.com/kawahara/index04.html
それに対して、「一蘭」は、更に顧客の潜在ニーズに対応する店づくりをしています。
http://www.ichiran.co.jp/index.html
まず驚くのが、店内の作りです。
照明は「一風堂」より、明らかに暗め。
一人一人の席が半個室になっていますので、店員さんや他のお客さんの顔が見えません。
ラーメンを食べる事に集中してもらい、じっくり味わってもらうためのこだわりです。
基本的にラーメン一種類なのですが、オーダー時に、アンケート用紙のような紙を渡され
自分の好みの味になるようにオーダーします。
スープ濃い目・薄目とか、秘伝のたれ多目・少な目とか、にんにく入れない・多目・少な目とか、
ねぎ入れない・多目・少な目とか、チャーシュ入れない・多目・少な目とか、麺バリ硬・硬目・柔らか目とか。
ですから、多くの仲間とわいわいガヤガヤ話しながらラーメンを食べたいという人には向きません。
一人もしくは少人数で、落ち着いてじっくりラーメンを食べたいという人に向いています。
後は単純に味の好みの問題です。
私は両方の店、当然、博多の本店も含めて何度も行ったことがありますが、最近はもっぱら
「一蘭」に行きます。
単純に味が好みなのと、自分でオーダーできる幅が広い事、そして落ち着ける環境でゆっくり
ラーメンを味わいたいからです。
「おいしい博多ラーメンを安心して食べたい」という顧客ターゲットを広めに設定している「一風堂」に対して、
「自分なりの博多ラーメンの味にして落ち着いた環境でじっくり味わいたい」という顧客の潜在ニーズに
対応している「一蘭」という構図に見えます。
その戦略の違いが、「一蘭」の伸びが目立ち、首都圏で知名度が高い「一風堂」を激しく追い上げている
という結果にストレートに反映されているかどうかはわかりませんが、新鮮さや斬新さを感じるのは
今のところ「一蘭」です。
ただ、「一風堂」も銀座の一等地ビル内に「五行(ごぎょう)」と言う高級ラーメン店を出したりしています。
そこでは、5種類ぐらいの全く味が異なるラーメンを味わえます。
様々な試行錯誤をしているようです。
昨日のブログに書かせていただいた、リンクアンドモチベーションの小笹社長の経営戦略にも
関係ある話のような気がします。
リーダーが行う
べきは、多様な顧客ニーズに対応するのではなく、その多様なニーズのどれに答えて、
どれに答えないのかを「選択」することです。
具体的には、以下の2つの方法があります。リーダーはどちらかを選び、自らが持つ資源をそこに
集中させることが大切です。
1 多様化しているニーズから、自分たちが対応するニーズを取捨選択する。
2 多様化しているニーズを統合して、1つのコンセプトにまとめる。
1はニーズを「分けること」、2はニーズを「くくること」だと考えてください。
「一風堂」と「一蘭」は、上記1と2、どちらの戦略を選んでいるのでしょうか?
リンクアンドモチベーションの小笹社長は、このように述べています。
ビジネスにおける究極の成功法則は、「単一商品・大量販売」です。同じ商品を大量に生産して売ることが
一番もうかります。大量に売れる見通しが立てば、その一つの商品を作るコストが大幅に削減できる
からです。例えば、繁盛しているラーメン店はこういう方法を取っています。
これって、上記2のニーズを「くくること」が、ラーメン店の成功法則だと言っているのです。
確かに多品種より単一商品の方が経営効率が良いに決まってますが、「一蘭」の店舗を見ていると
それだけではない顧客の潜在ニーズに対応していると思います。
プラスアルファが必要なんでしょうね。
難しいけど、おもしろいですね。
合掌。
※弊社HP↓。