「インターネットが普及すると、人材紹介業は無くなるかもしれない。」
と言われた時期があった。
当時のリクルートエイブリック(現リクルートエージェント)はもちろん、リクルートのHR事業部でも
そのような仮説の下、シンクタンクに依頼して、アメリカのネット人材ビジネスの市場調査などもやった。
それから10年が過ぎようとしている。
現在は市況が悪いので、人材紹介業もパッとしないが、ネット人材ビジネスの落ち込みは
それ以前に始まっており、人材紹介業がネット人材ビジネスに取って代わられる兆候は無い。
ただ、今は経費削減の折、
「人材紹介会社は高いからできるだけ使うな!!
何のために人事がいるんだ!!
求人広告で応募者を集めて、自力で採用しろ!!
できるだけ安いコストで採用しろ!!」
などという檄が飛んでいる。
実際に今は、求人広告への応募者数は相当多いようだ。
中小企業の若手営業マン募集に、応募者200人とか、ちょっと前なら考えられない反応だ。
しかし、私が採用担当者だったら気が狂ってしまう。
一人一人書類選考し、不合格者にはその旨通知し、面接に進む人にメールしたり電話したりして
呼び込む、更に面接官とのスケジュール調整を行い、駄目だったら再調整・再連絡などして、
面接不合格者にはその旨通知して、「やっと最終社長面接だ!!」 と思ったら応募者が辞退!!
で社長に怒られたり、「やった!! 社長もOKで内定だ!!」 と喜んで内定通知を送ったら、
「済みません。ちょっと給与が低いと家内に反対されまして・・・・・・。」 とか言われ、
「ここまで来て辞退はねーだろー!!」 となったりします。
ここまでかけた求人広告費、労力(採用担当者や面接官の人件費)、更に徒労感による精神的・肉体的
ダメージを考えると、本当に公募はコストが安いのか? という話になる。
採用実務は、これほどややこしく煩雑であり、社長や役員が思っているほど、採用担当者の仕事は
楽ではない。
また、人事スタッフは、採用だけやっているわけじゃない。
今は昔のように採用専任スタッフを何人も置ける会社は少ない。
「じゃー、採用実務をアウトソーシングすればいいじゃん。」
となるが、外部に頼めば結局コストは高くなるから、一体何をやっているかわからない。
「えー!! こんな事なら最初から人材紹介会社に頼めばよかった。
そうしておけば、今頃は他の仕事も片付いていたのに!!」
とにかく、人材紹介業は無くならない運命にはある。
しかし、求める人材の付加価値によって、一律30%とか35%ではなくなっていく。
当然の市場原理だ。
既に値崩れは進行し、もう戻る事はないだろう。
「エージェント」 という英語を使うとわかりにくいが、「代理人」 としての真価が問われている。
同業者の皆さん、頑張りましょう!!
合掌。
※弊社HP↓。