先週の金曜日に、昨年当社経由で転職されたAさんと食事をした。
今時珍しいぐらい、人生、仕事、家族、友人など全てに対して熱い人だ。
前職は、熱血社長 が創業した、めちゃくちゃ忙しいベンチャー企業だった。
今回転職したのは、落ち着いた歴史のある典型的な日本企業だ。
前職では無我夢中で働き、気がついたら30代。
自分の将来や家庭の事を考える暇も無かった。
だから、今回は前職とは反対の落ち着いた会社を選んだ。
一歩一歩着実な人生を歩むために、ワークライフバランスを適正なものにしたかったからだ。
前職が嫌いだったわけではない。むしろ好きだった。
しかし、20代だからこそ働ける会社と、30代・40代になっても働こうと思う会社は違ってくる。
心身の若さ、その世代によって求める価値観、家族の状況、経済事情などが大きく変化するからだ。
Aさんは、転職の最大の目的であった「ワークライフバランスの適正化」 には成功した。
だから、大きな不満は無いし、実際に元気そうだった。
ただ、熱いベンチャー企業 に長期間在籍し、歴史ある日本企業に転職すれば、
当然ながらカルチャーギャップは大きい。
私も同様だったが、自分の意志で辞めたのに、やたら前職の良い点ばかりが思い出され、
悪い点は忘れがちになる。
また、新しい職場の良い点より悪い点(前職より劣っている点)に目が行きがちだ。
これは危険信号 だと自分に言い聞かせて冷静になれる人は偉い。
Aさんは、それができる人だ。
ただ、私のように精神年齢が低い人間は、
「よーし、この会社の悪い点を俺が直してやろう!! それが俺の使命だ!!」
と勘違いして、周囲の人との信頼関係もできていないのに暴れて自滅する。
多くの人は暴れる所までバカではないが、心の中に悶々とストレスを溜め込み、
仲の良い友人にだけ不満をもらし、いずれは耐えかねて辞めてしまう。
転職を繰り返す人は、大なり小なり、これが癖になっている。
だから、転職をする時に大事なのは、新卒の心に戻る事だ。
「自分には、立派な社会人経験もあるしスキルもある。それを買われて採用されたんだ。」
などと思ってはいけない。
業務スキルは必要に応じて発揮すれば良い。
しかし、前職のカルチャーを、未だ信頼関係ができていない新たな職場で、頼まれもしないのに
披露してはいけない。
周囲の人から、「前の会社の事を教えてください。」 と言われるようになるまでは、
ひたすら新しい会社のカルチャーに、自分の身をひたす事だ。
新卒に戻ったつもりで。
正しいとか、間違ってるとか、余計な事を考えてはいけない。
*私の中には、この二つしかないが。
にこにこして、あるがままに受け入れなければ長持ちしない。
採用企業側も面接の時点では、
「入社したら、是非、うちの社内をかき回してよ!!」
などと言うが、本当にそんな事を許す会社はほとんどない。
「能ある鷹は爪を隠す」
これは旧い言葉だが、やはり当たっている。
それが面倒で嫌な我儘な人は、独立するしかない。
「にんげん 我慾のかたまり にんげんの わたし」 みつを
合掌。
※弊社HP↓。