最近のマスコミの「派遣切り」報道に関しては、頭に来ている。
みそもくそも一緒にしている。
派遣業界の歴史・沿革とか、一般派遣と特定派遣、請負などの雇用形態の違いを
派遣業界を知らない人にもわかるように説明してから報道しないと様々な誤解や
認識ギャップが生まれると思う。
仕舞いには、「そもそも派遣を自由化したのが悪い!!」 などと言っているバカもいる。
浅知恵のコメンテーターは黙れ!!
それから、全般的な論調を聞いていると、
「派遣労働者が一方的な被害者である」 とも受け取れる。
派遣しか選択の余地が無かった人は別としても、正社員になる道があった人もいるはず。
特定の組織に所属せず、自主的に派遣という働き方を選んだ人もいるはず。
正社員でも切られるのだから、順番から言えば、まずは派遣を切り、次に契約社員を切るのが
当り前であり、それを前提にしているのが派遣契約であるはず。
メーカーの場合、元来、「期間工」として直接有期雇用していたものが、派遣形態に変化したケースが
多いだろう。
ただ突然、「元々の予定より早く契約を終了したい」、「従って借り上げアパートも出て行け」 では
あまりにかわいそうだ。
この場合は、国か、派遣会社と依頼した会社が折半で1か月分の解雇予告手当を支払うとか、
1ヶ月間は借り上げアパートで暮らしてもいいとか、何らかの援助が必要だと思う。
国も国民に一人12000円ばらまくなら、それに充当してくれた方がいい。
派遣業というのは、何十万人もの雇用を生み出している社会的意義の大きな産業だ。
結婚して子供ができた主婦が、通勤しやすい会社で自分の能力を提供し対価を得る。
正社員で働いていたが、何らかの理由で退職し、次の正社員の仕事が見つかるまで
派遣で働く。
新卒でも、「いろいろな会社や仕事を経験したいので派遣で働きます」 という人もいる。
このように、真面目で向上心や責任感が強い派遣スタッフは数多い。
しかし、一方では、出社初日から来ないとか、途中から嫌になり無断欠勤するなど、
意識が低いスタッフもいる。
平均値を取ると、どうしても正社員より派遣スタッフの方が、意識やスキルの点で劣る。
これは賃金や雇用期間の保証という違いから仕方ない事である。
派遣を依頼する企業側も、その点はある程度覚悟の上だ。
企業側には、人件費の変動費化や、急場しのぎの際に派遣を依頼できるというメリットがある。
派遣スタッフ側にも、特定の組織にしばられず嫌なら職場をかえられる、好きな時に好きな期間
働ける、そんなに特別なスキルを要求されない仕事がある、というメリットがある。
このような需給バランスの中で、派遣業界は必然的に巨大産業になった。
莫大な雇用機会を創造している。
自由化して何が悪い?
問題をはき違えるな!!
グッドウィルなど、明らかな違法行為を繰り返し行い、派遣スタッフも自社の社員も路頭に迷わせた
バカ経営者 が追放されるのは当然の報いだ。
ただ、これをもって自由化そのものが悪いと言うのは筋違いだろう。
自由化後の事業が適正に運営されているかをチェックする責任は行政にもある。
グッドウィルも、もっと早い段階で厳しい指導が行われていれば、あそこまで傷は深くならなかった
だろう。
経営者が一番バカだが、行政も肝心なところでぬるい。
これによって、「派遣産業」というものが、真面目にやっている会社も無責任な会社も
みそくそ一緒にされ、業界イメージが悪化させた罪は大きい。
だから、事務職派遣と軽作業派遣とは、マスコミでも区分けして報道するべきだ。
偽装請負もしかり。
これも含めて、派遣業界が全部悪いと誤解される。
更には、「一般派遣」に対して、「特定派遣」 というものも区分けして報道されるべきだ。
「特定派遣」は、自社の正社員を客先に派遣し、仕事が無い社員にも毎月給料を払い続けるという
リスクを背負っている。
トヨタやソニーに契約を切られて暇になった社員にも、給料を払わなければならない。
ただ、「特定派遣」の場合、IT、電気、電子、機械など付加価値の高い技術を持った人材を
派遣するので、派遣先さえ確保できれば、事務派遣よりも利益率が高いビジネスだ。
とにかく、「派遣切り」という一言で片付けず、派遣業界にもいろいろある事、派遣する側、
派遣スタッフ、依頼する企業側にもいろいろな事情がある事を、今回の機会に正しく世の中に
認知させるような報道をマスコミに望みたい。
それから、不況を煽るような報道ばかりするな。
単に不況を象徴する事象をかいつまんで報道するのではなく、具体的にどうすれば好況に
なるのか? そこまで責任を
持って報道してくれ。
政治にだけ責任を押し付けるな。
最後のブログは硬い話になりましたが、今年は私の稚拙なブログをお読みいただき、
誠にありがとうございました。
みなさま、どうか良いお年をお迎えください。
来年も何卒宜しくお願い致します。
合掌。
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