「人生いろいろ 転職もいろいろ」
このCさん、初めて会った時から、
「何とも言えない味がある。」
と思った。
理工系大卒ながら、1社目は自動車 のセールス。
2社目は、レストアと言う、昔の名車 を復元するというマニアックな仕事に就いた。
部品から手作業で作り直すという、気が遠くなるような仕事だ。
一生、この仕事を極めようと思ったらしいが、師匠である社長が急に会社をたたむことを決めたので
止む無く断念。
そうこうしている内に家族 もできた。
もう自分の趣味だけで仕事選びはできないと思い、いろいろ探したが、過去の経歴があまりに
ユニークなので、なかなか正社員の仕事が見つからない。
仕方なく、ある小売業の会社に、販売のアルバイトとして入社した。
ここからが、この男の真骨頂。
やるとなったら人の何倍もトコトンやる性分。
見る見る間に頭角を現し、正社員に登用された。
それに留まらず、お店の販売員から本社のバイヤーに抜擢されるという異例の昇進を遂げた。
しかし、Cさんは、
「この会社では、家族を支えられない。」
と思い始めて相談に来た。
理由は三つだ。
1 あまりに仕事量が多く、深夜残業は当り前。
土日も仕事を家に持ち帰りやっている。
全国の店舗をカバーしているのに、アシスタントも付かない。
2 お子さんが二人できたのに、ここまでハードに働いても年収400万円。
3 この会社、上が詰まっており、更なる昇進の見込みが薄い。
要するに将来不安だ。
「働いた分、ちゃんと報われる会社はないですか?」
それがCさんの切なる願い。
私も一瞬困った。
あまりにCさんのキャリアがユニークだから。
でも、人間的な魅力がある。
大変な状況なのに、なぜか悲壮感が無く明るい。
逆に私の気持ちが和む。
そして、何よりやる気になった時の集中力は凄い。
相当に潜在的な能力を持っている。
多分、やれば何でもできる。
おー、大学が理工系卒だ!!
そこで、エンジニア紹介に特化している友人の紹介会社を薦めた。
「貴方は、人間的な魅力があり、尚且つ、元々理工系の基礎知識がある。
だから是非、この会社に応募してみたらどうか?
この会社の責任者の人も、人間的魅力豊かな人だから、会えばお互いの良さがわかるよ。」
普通なら書類選考で厳しいところだろうが、友人は快く面接してくれた。
そして、その後、とんとん拍子に内定。
初めは慣れない仕事で大変だった思う。
しかし先日、友人が、
「C君は、今、うちのエースですよ!!
昇格しましたよ。
本当にいい人を採用できて良かったです。
ありがとうございます。」
と言ってくれた。
この瞬間が、Win-Win-Win だね。
こちらこそ、ありがとうございます。
合掌。
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