多くの会社が、大手人材紹介会社の真似をして、分業制を導入し失敗している。
しっかり軌道に乗っている会社は少ない。
申し訳ないが、失敗するのが当り前の状況でやっているので仕方ないと思っている。
分業制(RA、CAの役割分担制)を成功させるには鉄則がある。
1 会社(経営)に求心力がある事。
・社員のロイヤリティー が相当高い水準にある事。
・新卒社員 を採用し大事に厳しく育成している事。
2 ある程度以上の規模である事。
3 まずは、RA(法人営業)を経験させる事。
4 ローテーション(人事異動)を適度に行う事。
・RAからCA(キャリアアドバイザー)へ。
・ITグループからメディカルグループへなど、担当業界も2年から3年で変える。
5 固定給制にする事。歩合給は廃止する事。
6 公正な人事考課を行い、業績のみでなく行動面も評価する事。
まだ、いろいろあるかもしれないが、要点はこんなところかな?
もっと噛みくだいて、具体的な事を書く。
A:経営者と社員の心理的距離感が近く、相当に信頼される努力を継続している事。
直接対話の機会を意識して持つ。
B:それでもロイヤリティーが低い社員は、業績が良くても辞めてもらう事。
業績が良くて、ロイヤリティーが低い社員ほど周囲に与える害が大きい。
C:新卒採用を相当数行いマジョリティーにする事によって、モノカルチャーにする事。
仕事のやり方に、前職の中途半端な経験則を持ち込む社員は生産性低下の元である。
中途採用するなら、気心知れた人材を幹部登用し、組織として大事にする価値観を
固める。
D:初めからクセをつける、慣れさせるという意味で、小規模でも分業制を導入してもいいが、
肝心のスケールメリットは出にくい。
100人近い規模になり、営業拠点も東京・大阪・名古屋など主要都市に展開していれば、
求人求職情報の流通量が増え、それなりのスケールメリットが出やすい。
それまでは、分業制に転換する事を前提にした一気通貫(両面)制でしのぐ。
E:RA業務は、CA業務より明らかに難度が高い。
新規開拓力、企画提案力、ハードなネゴ力など、対法人営業のRAの方が、
自分から来社してくれる登録者を相手にするCAよりも、高いレベルの業務遂行能力が
要求される。
初めは、RAに配属し第一線でやれそうな社員はRAに残し、第ニ線以下をCAに配属する。
そうしなければ、同業他社との競争には勝てない。
F:上記のプロセスを踏む事によって、CAを必要以上に威張らせない。
概して、新卒など若い社員をRAに配属し、中途採用者をCAに配属している会社が
多いが、これをやるとCAがあごでRAを使うようになり、偉そうに威張るだけで
業績は全く上がらない。
このようなCAをマジョリティーにしてはならない。
極論すれば、RAの方がCAより偉いという文化をつくらなければ、足腰が弱い組織になる。
G:RAとCAとの間のロ-テーションは当然だが、業界別グループ間のローテーションも
行わなければ駄目。
各業界別に、やりやすさもやりにくさもある。好不況もある。
人間は隣の芝生が青く見えるので、多くの社員が、「自分の担当業界は他の業界よりも
大変だ。苦労が多い。不公平だ。」と思いやすい。
このようなバカは、実際に異動させなければわからい。
これをやる事によって、お互いの市場理解が深まり、公正な人事考課にもつながる。
「この社員を異動させると売上が落ちるから・・・・・。」とか言って、人事異動できない小者は
経営を退くべきだ。
H:分業制はチームワーク(社員間の信頼関係と健全な牽制関係)があって初めてワークする。
それなのに、歩合給など原始的な給与制度を導入している場合じゃない。
歩合給制は、単なる経営の保険でしかない。
すぐに撤廃してMBOに基づく固定給制を導入すべきである。
I:公正な人事考課を行うためには、まず、経営者が好き嫌いで人事を行わない事だ。
経営理念や顧客視点、社員の視点に立って、常に良い情報も悪い情報も自ら集める。
特に、経営にとって耳障りの悪い情報ににこそ、優先順位を上げて対応する。
耳障りが悪いが建設的な意見を言う社員を重んじる。
タブーの無い会社、何でも言える風土にしなければ、自発的な社員は育たず、
いつまでも組織は活性化しない。
社長が交代しても、活性度が変わらない強い風土を創らなければならない。
今日は、大きくしたい紹介会社向けの話でした。
私は、大きくしたくないので、一気通貫(両面)制で頑張っとります。
合掌。
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