「人生いろいろ、会社もいろいろ」
小泉前首相が、国会答弁で使った言葉で話題になった。
結構、この言葉、気に入っている。
例えば、リクルートエイブリック(現リクルートエージェント) とJACジャパンとでは、
全く社風が違う。
会社も個性なので、良し悪しではないが、私なりにいろいろ比較していた。
*ただ、あくまで私見であり、社風も変わるので、軽く読み流していただきたい。
1 まず、トップダウンかボトムアップか?
私見では、トップダウン型のJAC、ボトムアップ型のリクルートだと感じていた。
リクルートは、ほとんどの事業が社員の発案によって立ち上がった。
「経営への提言」とか、「RING」とか、様々な提案の場があり、そこで経営に評価された提案が
事業化される。
また、その新規事業の責任者は、提案者本人だ。
JACの場合は、事業は経営者 が自ら立ち上げてきた。
このような歴史沿革の違いから、社風も影響を受けていると思う。
JACの場合、上層部の会議で決まった事が、その後、社員の反対によってポシャる事は無い。
リクルートエイブリックでは、そのような事も起こり得る。
また、会議で決める前に、社員の意見を吸い上げたりすることもある。
それぞれのメリット、デメリットがあるだろう。
何よりもスピードを重視する場合は、強いリーダーシップで決めて突っ走る必要がある。
いちいち社員の言い分を聞いている時間は無い。
一方で、「社員の納得感」というものも見過ごせない。
決められた方針に納得感があるか?
いや、それを納得させるのが、マネージャーの仕事だと言われる。
ただ、社員の現場感覚とかけ離れた事を、現場に落とし込むのは大変つらいし、
組織の求心力が失われる可能性もある。
2 社員の特性
トップダウン型だと、自然と社員は指示待ち傾向になる。
何か方針が下りて来て、それに従ってオペレーションすることに慣れてしまう。
だから「さじ加減」が難しい。
ある程度、マネージャーにも考えさせ、意見を出させる必要がある。
ただ、一度決めた事は徹底されなければ意味が無い。
だから、自分の意見は違っていても、決まった事は自分の言葉でメンバーに伝え、
徹底させなければならない。
JACは、この徹底させる力に優れていた。
結果が出るまで徹底的にやってみる。
あれこれやらない。
やるべき事をできるだけ絞込み、それにフォーカスしてやる。
そして結果が出れば、組織の求心力は高まる。
これが上場の原動力だ。
対するリクルートは、「自分が一番」と思っている社員の集団だった。
会社の前に自分がある。
できない上司は認めない。
みんなで追い出して、上司を飛ばす。
社長だから、部長だから、課長だから偉いとか、全く思っていない。
正しいのは常に自分が思っている事、自分が直面している現場の実態だ。
だから、経営会議で決まった売上目標でも、それが現場感覚から見て高すぎるとなると
撤回され修正される事もある。
それでは、経営会議の意味が無いと言われればそれまで。
ただ、「自分が一番」と思っている集団に、ある程度の納得感を与え、働かせるためには、
そのようなドタバタも大した話ではない。
ただし、真剣に文句を聞いてもらえるのは、常に高い業績を残せる人間だけだ。
3 マナーに関して
ここでは、象徴的な三つの事を挙げよう。
(時間)
今のリクルートエージェントはどうだか知らないが、エイブリック時代は時間にルーズだった。
会議には必ず数人遅れてくる。それも堂々と。
それが常態化していた。
昔のように、真剣に怒る人 が居なかったこともあり、その点、私自身、大いに反省する。
遅れてくる社員は、仕事を理由にするが、そんな事は全く言い訳にならない。
一方で、JACでは、遅刻する人は皆無と言ってもいい。
それが会議であれ、ちょっとした打ち合わせであれ、パーティーであれ。
最近でも、JACの人と食事をしたり飲みに行ったりするが、いつも時間前に揃っている。
役員会など、グループチェアマンの田崎さんや、田崎ひろみ会長(現社長)が、
一番早く着席していたりするので見本になっている。
そして、1分でも遅刻した人は、その場で叱り飛ばされる。
遅刻は他のみんなの時間を浪費させるのだから、10人の会議で誰かが1分遅刻すれば、
10分の損失だ。
これが社会常識だ。
(あいさつ)
「おはようございます!!」
「行ってきます!!」
「ただいま!!」
「お帰りなさい!!」
「ありがとうございます!!」
「申し訳ございません。」
「お先に失礼します。」
全てのビジネスの基本は、あいさつで始まり、あいさつで終わる。
例えば、JACの場合は、
「おはようございます。
昨日はご馳走になり、ありがとうございました。
本当にお支払いしなくて、よろしいのでしょうか?
ありがとうございます。
よろしければ、また誘っていただけますか?
次回は私たちもお支払いしますので。
宜しくお願いします。」
こんな感じで、朝一にお礼の挨拶に来る社員が多い。
リクルートでは、私も含めて、このような社員は皆無に近かった。
(タバコ)
私は、JACに入社直後に、役員会メンバーの約束事として禁煙した。
もし、喫煙した場合は 、2万ポンド(当時で約40万円)の罰金。
社員は決められた喫煙場所、基本的には社外で吸う。
会議や食事の場では、当然禁煙。
一方、家内に数年前聞いた話では、リクルートエージェントのマナーは依然として悪かった。
パーティーの時、ビール を飲んだコップを灰皿代わりに使っていたとか。
取り皿 も灰皿にしていたとか。
また、後輩のマネージャーが遅れて宴会にやってきて、密閉されたカラオケルームで
誰の了解も得ず、ひたすらチェーンスモークしていたとか。
私も社内に居た時は同じような事をやっていたが、JACジャパン、マンパワー・ジャパンと
他の会社を経験してからは、リクルートのマナーの悪さを認識させられた。
今は相当改善されていると思うが、どうだろー?
とりとめのない話になったが、まさに
「人生いろいろ、会社もいろいろ」 だ。
皆さんは、どんな会社で働きたいですか?
合掌。
※弊社HP↓。