最近、「人事」の仕事を希望される方が急増している。
人事経験者が「人事」を希望されるのは当然だが、未経験だけど「人事」をやりたい人が
大変増えて正直困っている。
理由は、下記のようなものが多いです。
昔から、人が好きで、人材採用や教育に関心があったので、「人事」をやりたい。
経営は人材次第だから、「人事」をやりたい。
「人材紹介コンサルタント」の仕事に限界を感じたので、「人事」をやりたい。
「人が好き」? ⇒ 多くの人がそうですよね。今更、学生みたいな事言うな!!
「経営は人材次第」? ⇒ よく聞くセリフですね。
「人材紹介コンサルタントの仕事に限界を感じた」? ⇒ どんな限界を感じたのだろう?
そもそも「人事」の仕事内容をある程度は研究したり、人事経験者にも体験談を聞いたりして、
それでもあくまで「人事」を志望しているのか? 率直に疑問に思います。
採用や教育研修にスポットライト が当りがちですが、組織人事とか、制度とか、労務とか、給与とか、
福利厚生など、「人事」にも様々な仕事がありますね。
内容を考えると、「人事」の仕事の大半が裏方と言うか、縁の下の力持ち的な仕事です。
組織人事や人事制度構築は、経営に近い上流の仕事に見えるかもしれませんが、
勘違いですよね?
例えば、「組織人事」は、人事部門が決めて組織改変を行ったり、人事異動を行うわけではなく、
経営の意向を受けて、現場の意見や愚痴を聞いたり、現場間の利害調整をしたりする仕事に
多大な労力を費やします。
もちろん、会社によっては、人事思案としてを役員会に意見具申する程度の事はできるでしょうが、
「人事」に関する最終的な意思決定は全て役員会マターですね。
「人事制度構築」も、人事部門が新たな制度を構築するように思えるかもしれませんが、
これも結局は「組織人事」と同じで、最終的な意思決定は役員会マターです。
「人事」が力を発揮するのは、新制度施行後の運用・修正とか、力仕事、汚れ役の方がメインです。
「だから、人事はおもしろくない仕事ですよ。」
と言いたいわけではなく、大変範囲が広く奥が深く、経営や現場からのプレッシャーもあり、
守秘義務も多くストレスフルで、大いに忍耐力を要する地味な仕事であると言いたいのです。
私も若い頃は、「採用とか教育」にあこがれて、
「一度は人事の仕事をやってみたいなー。」
などと思った事もありましたが、自分が課長、部長、社長などを経験し、
立ち位置が変わると、「人事」と言う仕事がどんどん大変に見えて来て、
「間違っても自分からやりたいとは思わない。少なくとも非人格者の俺は向いてない。」
という感じになりました。
「営業現場はいいなー。業績さえ上げていれば何も言われないし、経営や人事に対しても好き勝手に
文句が言えるし、いろいろなお客様に会えて日々仕事の中で自然と刺激を受け勉強になるし。」
と思うようになりました。
「人事」をやるなら、取締役になってボードメンバーにならないと、多くの人事希望者がイメージ
しているような、経営に大きなインパクトを与えるような仕事はできませんよ。
しかし、そこまでの人事のプロになるためには、長年に渡る努力や苦労を覚悟する必要がある。
今、多くの「人事」希望の方々は、どこまで深く考えて志望しているのだろう?
私は少なくとも、
「人材紹介コンサルタントの仕事に限界を感じたので人事をやりたい。」
と言う人の大半は、営業的な仕事、目標数字のプレッシャー から逃げたいだけだと思っている。
このような人は、実際に「人事」の仕事に就けてもギャップが大きくて続かない。
逆に、営業で業績を上げると、思わぬローテーションで「人事」に異動になる人も居る。
「彼(彼女)は優秀だから、一度ローテーションで人事も経験させておこう。」
この場合は、エリートコースだ。
「急がば回れ」
どんな仕事でも、目前の仕事を一生懸命やっていると良い事がある。
現実逃避型の「人事」希望者は、私が撲滅する。
本当に人事の仕事をしたかったら経営者になれ!!
現実逃避型人事希望者撲滅委員会会長
武谷 広人
合掌。
※弊社HP↓。